‟今週の高知けいば“ではジョッキーに学ぶダイエット第3弾をお届けします。
第3弾は、騎手として35年間高知けいば一筋に駆け抜け、2022年に調教師として再出発を果たした、高知けいばの親分こと西川敏弘調教師にお話しをうかがいました。
騎手を引退後、食生活や体型の変化はありましたか?
引退後、一時期は体重が2kgくらい増えたのかな?今は元に戻ったんですけど。調教師になった今も攻め馬をずっとやっていて、それが結構ハードで体力も使うので。調教師を始めて間もない頃は管理馬の頭数も少なかったし、開業して人との付き合いも増えました。乗り役だった頃はあまりなかったのですが、会食機会も増えて一時は体重が増えましたね。今は現役時代より飲酒量が増えました(笑)人とご一緒する機会が増えた分飲む量が増えています。
普段からアルコールを召し上がるんですか?
普段から家でビールを飲みます。食事の時にご飯と一緒に。
家でのお食事はどんなものを召し上がっているんですか?
奥さんの作ってくれるものを(笑)。好き嫌いも特にないですし。普通の家庭の食卓と変りないと思いますよ(笑)。もともと痩せやすい体質で、現役時代は運動量も今より多いし、夜飲む時に必ずご飯を食べないと体重が落ちていってしまうんで意識して食べていました。今はビールとつまみだけなんてこともありますけどね。
調教師になってからも意識的に体型を変えないように努力されているんですか?
特別努力しているという感覚はないです。最近も自分で腹回りを見て、お腹が出てきたなと感じて、意識して戻そうとしています。すぐ戻りますよ。
すぐというのは2~3日くらいの話ですか?
いやいや、1ヶ月くらいですよ。乗り役やめてからは、当時と同じカロリー量を摂っていたら運動量が少なくなってきたので、お腹が出てくるんですよ。肥えると膝もあまり良くなくて、攻め馬の騎乗にも影響が出てくるから。例えばお昼ご飯にラーメン食べていたものをサンドイッチだけにしたり、朝はしっかり食事を摂って、昼夜は炭水化物を抜いたり、そんなことを1カ月くらい続けるうちに戻っていきます。
体重や体型を維持するために意識していることなどがあれば教えてください。
肉より魚中心の食生活ですかね。若いころはお肉をたくさん食べてましたけど、どんどん魚の割合が増えてきましたね。長く乗り役をしたかったので、体重を変えないように若い頃から気をつけていました。 ‟間食をしない”ということもずっと続けています。基本1日3食ですが、間食はほとんどしたことがないという。自分の場合は開催日も3食摂っていました。競馬場の人は日に2食の人も多いですが、僕は3食摂って間食は一切しないということをやってきました。
引退を機に明日から好きなだけ好きなものを食べられる!とはならなかったですか?
今も攻め馬を続けているので。自厩舎は自分が主体で攻め馬をやっていて、ケガをしたら皆に迷惑をかけちゃう。身体が動かないとケガに繋がりやすいし、乗れる身体でいたいから。いつ乗らなくなるかはまだ決めてないし、徐々に減らしているんですけど、乗れるうちはケガをせずにいたいです。
凄いプロ意識ですね、現役時代の運動習慣について教えてください
現役の頃は、開催が近づくと身体作りの為にストレッチ、ランニングを行っていました。年齢とともに、身体への負担の方が大きくなってきたので、強度や頻度は変えてきました。現役中は調整ルーム入りして、前の晩にサウナに入ってストレッチ、翌日レースの2時間前に起きて1時間半くらいのストレッチを続けていました。サウナで身体を温めた後に、満遍なく身体全体をほぐして、柔軟性を高めてケガをしないように。 ランニングは必要に応じて、軽めのペースで1時間くらい行っていたのを、45歳過ぎたあたりから、膝への負担を気にしてウォーキングに切り替えました。現役終盤は体力も落ちて、レースで消耗した身体の回復に注力していました。それに伴って遊びに行くことも控えるようになりましたね。レースに使うための体力温存です。
騎手という職業柄、身体への負担はかなりのものですよね?
騎手としてレースに乗るということは、肉体的負荷もあるし、カロリーの消費量も相当なものだと思います。レースに乗らなくなって身体が楽になりました。現役時代の終盤は毎週1・2回はマッサージなどで身体のメンテナンスをしないと肉体的に保てないという状況でしたが、現在は月1回程度のメンテナンスで事足りています。
先生の体重調整に対する考え方について教えてください
騎手としては、それが仕事だからと割り切っていました。若手であってもデビューしたらプロですから、プロ意識を持って取り組まないといけない。僕の尊敬する方がかつてそれを伝えてくれて感銘を受けました。プロというのは求められたことに応えないといけない。それが出来るか出来ないか。普段あえて口にしては言わないですが、常々それを考えてきました。
無駄な筋肉をつけないことも大切です。マラソン選手のような持久筋を増やして過剰に筋肥大させないことも気にしていたし、習慣付いていることばかりなので、ポイントを伝えるのが難しいですね。
では一般の方に体重管理のアドバイスをお願いします
仕事として体重管理をしてきた自分から言わせてもらうと、重要なのは意思ですね。物理的には普段の食事で胃を小さく保つことができれば、少しの食事でお腹は満たされます。でも一回の食事量の変化が大きいと、それに伴って胃のサイズも変わってしまう。毎回の食事量に変化を付けないことが大切なんじゃないですかね。そういう意味では一度の食事を減らして回数を増やしたり、人によって調整のバリエーションはつけられると思います。1回1回の食事で満腹にはならないけど意外と慣れたらそれで大丈夫になりますよ。たとえば普段の食事で腹十分まで食べている人が腹八分に切り替えたら、今以上に肥えることはないですよね。あと僕の場合、毎食後必ず歯磨きするので、それも間食しない習慣付けに役立っているかもしれません。どんなことでも変化を付ければ必ず効果は表れます。あとは継続できるかどうか、皆さん頑張って続けてみてください。
17歳のデビュー以降今なお体重維持を続ける先生の口から語られると説得力が物凄いです。西川調教師、お仕事の合間に貴重なお時間とお話しをありがとうございました。
今回のまとめ
・自分には無理だ、とハナから諦めず食べない状態に慣れる努力を
・痩せるための強い動機を持ち、それを普段から意識すること
・一度の食事で目一杯に胃を満たさず、7~8分をキープしてみましょう
西川敏弘(にしがわとしひろ)調教師
1970年生まれ。1987年のデビュー以来、トップジョッキーとして高知けいばを牽引し続け、2022年に騎手を引退。調教師として再スタートを果たした現在も日々攻め馬をこなしており、現役時代と変らぬスタイルは健在。
https://www.keiba.go.jp/KeibaWeb/DataRoom/TrainerMark?k_trainerLicenseNo=11490
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ジョッキーに学ぶ ダイエット第2弾~郷間勇太騎手編~
ジョッキーに学ぶ ダイエット第1弾~岡村卓弥騎手編~