-Derby 10years-

 高知競馬の2つのダービー、サラブレッド系の高知優駿(黒潮ダービー)とアラブ系の南国優駿(アラブダービー)が行われました。いずれも黒潮皐月賞・マンペイ記念に次ぐ二冠目という位置付けですが、第30回という歴史などを考えれば3歳馬にとっては最重要競走と捉える事が出来ます。

 それではここで過去10年の”ダービー馬”を振り返ってみましょう。

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高知優駿 黒潮ダービー

1993 ビショップスキー
…金沢サラブレッドチャレンジカップに遠征(勝ち馬ヨシノキング)、後に古馬A2重賞・桂浜月桂冠賞を制し重賞3勝
1994 ヤマキヨリーフ(牝)
…前年のビショップスキーに続きRKC杯との二冠
1995 イージーアンサー
…30回中ただ一頭のセン馬
1996 カイヨウフウジン
…厩舎の僚馬カイヨウライジンとの1・2フィニッシュを決める
1997 イージースマイル(牝)
…3歳夏に建依別賞で2着、JRA桜花賞への挑戦など話題の多かったヒロイン、重賞4勝
1998 カイヨウジパング  
…初の三冠馬、セクチオ・イージープリンスとの3強対決となった高知優駿は語り草、ダービーグランプリ6着が光る
1999 マルチドラゴン
…ギャロップスキーとの凄絶な競り合いは上がり36秒台(!)
2000 オオギリセイコー
…二頭目の三冠馬、黒潮MC3着と古馬重賞でも力を見せた
2001 カチマサル
…黒潮菊花賞との二冠馬、現役馬で現在は休養中
2002 ミドリノオトメ(牝)
…3番人気で見事な優勝、ホッカイドウ競馬セリングレース出身

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南国優駿 アラブダービー

1993 ビゼンホマレ(牝)
…新鋭・中越豊光騎手を背に優勝
1994 セントモンテス
…銀の鞍賞・KUTV杯も勝って世代重賞完全制覇
1995 イチヤ
…栗毛の三白流星、南国王冠も制したスターホース上山移籍後も重賞勝ちなど活躍を続けた
1996 ビソウテンプー(牝)
…山岡恒一厩舎2連覇、ロングスパートが武器だった
1997 カタマルルーシー(牝)
…何と8番人気、3歳1月には枠複25万馬券の1着馬ともなっており、波乱の主役として記憶に残る馬だ
1998 チュウオーロッサ
…瀬戸内賞・南国王冠などのタイトルも持つ、現役馬
1999 パワーレイク
…こちらも瀬戸内賞・南国桜花賞と活躍した現役馬
2000 チーチーキング
…南国優駿はレースレコードの優秀なタイム、重賞3勝だが全国交流のタマツバキ記念で3着など高知を代表するアラブ
2001 プレシャスボーイ
…圧勝した南国優駿以外はもうひとつ力を出し切れず
2002 カミケンマック
…超スローペース決戦を制した30代ダービー馬

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 こうして資料をまとめていくうちに色々な事を思い出しますねえ。
2歳の時はパッとしなかったのに、いつのまにか力をつけてダービーを制した馬や、逆に2歳時の輝きを失う馬もいれば故障に泣いたりする馬もいる…。
 印象的なレース、ですか?並べてみるとたくさんあることが分かります。実況をする立場から言うと実に色々なことが起こった2000年の南国優駿が、まあ最近のレースということもあって印象が強烈ですね。マンペイ記念でアポロスイセイがエムエスベッカーのハナを叩いて押し切り勝ち。このときの前半2ハロン通過ラップが24秒台で(馬場・良!)サラブレッドのオープンクラス並みでした。チーチーキングは追走に苦労して2頭から離れた3着に敗れています。南国優駿でも前半はハイペースで進んで見ている全員が息を呑む展開に…。ところが3コーナーでエムエスベッカーが無念の競走中止。そしてレースは後方から凄まじい切れ味で伸びたチーチーキングが、アポロスイセイに3秒という記録的大差を付けて圧勝する幕切れとなりました。その後、アポロスイセイが古馬オープン特別を勝ち、南国王冠でも2着に粘るなどの活躍を見せているのはご存知の通り。チーチーキングの活躍は改めて書くまでもないほどです。そうなんですよ、こうして古馬になってからの活躍があるとその馬のダービーは光り輝くのですね。サラブレッドの方ではこうした例がまだあまりなくて(カイヨウジパングが黒船賞6着、オオギリセイコーが高知県知事賞や黒潮マイルチャンピオンシップで入着した位かな)、残念なのですが今年の覇者であるミドリノオトメや2着馬のリンデンスワローに希望を託しましょう。

 時代の流れというものも、着実にこの10年の年表に現れているでしょう。
アラブ系のダービー馬の資質が向上しているのは、JRA・南関東などがアラブ競走を廃止したためという皮肉な状況が一因です。今後は逆にアラブ系馬の供給が果たしてどの程度確保されるのかという問題に直面します。
 一方で馬産地のお膝元であるホッカイドウ競馬からはサラブレッドのダービー馬が2年続けて高知競馬に贈られて来ました。特に今年のダービー馬、ミドリノオトメは前述したとおり現役競走馬のトレードを活発にするための「セリングレース」(認定勝ち馬・平場勝ち馬・未勝利馬とカテゴリーを分け、販売対象の馬によるレースを施行、その場でセリにかける)で購買された馬です。
当歳から1歳(これが主流)での競走馬購入に伴うリスクとは、まず無事に競走に出走できるように成長するかどうかという事、そして競走能力がどれぐらいあってなおかつそれを阻害する脚部不安や悪癖に気性難がでないかどうか、といった多岐にわたりますが、セリングレースならそのリスクを見極めることが可能な上に馴致や初期調教といった手間やコストを回避できます。近年は他にも各種トレーニングセール(調教を公開する2歳馬セール)が充実してきており、牧場や専門施設などの育成技術も進みました。こういった状況は本当に10年前とはまったく違ってきていると言えるでしょう。
 
 今後、高知競馬における2~3歳戦は変革の時を迎えます。というよりもそれを余儀なくされるでしょう。入厩頭数の確保という大問題から始まって、賞金の確保や高知デビュー馬の奨励策など、賞典奨励費が潤沢に用意されているわけではない状況の中でも、それらを解決していかねばなりません。
 なぜならば、やはり”ダービー”こそが競馬の魅力の源泉となるからです。
古馬のハンデ戦ばかりだった近代競馬の黎明期に生まれた「ザ・ダービー」。
それはまだ力関係がよく分からない3歳馬同士を一発勝負のステークス競走で競わせる事でこそ生まれる緊張感であったり、名誉であったり、そして未来を予言する楽しみを競馬に与えた大いなる「発明」だったのです。
 10年後、新たな10の物語をまた振り返ることが出来るよう…。
それは高知競馬のファンが「競馬の楽しみ」と共に歩む10年間なのです。

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