黒船賞回顧

 少々の雲はあったが晴天・やや重で迎えた第4回の黒船賞。何しろ全国ほとんどの場で広域場外発売される上、4回目にして最も地方他地区のメンバーが揃い、更に本場には武豊騎手目当てのファンも数多く詰めかけ、大変な盛り上がりを見せる事となった。

 馬場状態は重からやや重へと回復した。18日の不良からどこまで、と心配されたがほとんど良に近いと表現しても良いだろう。高知競馬場の時計を1300m戦の下級条件戦(サラ)で考えれば、1分26秒台なら標準。24~25秒台で速めとなり、23秒台はかなりの高速馬場となる。この日は序々に時計が掛かり始めている状況で、黒船賞(1400m)の予想タイムは1分28秒台の後半という印象だった。しかし実際は・・・。

 先行争いは凄まじいものとなった。芝のGIを逃げ切っているヤマカツスズランが大外枠も響いて先手を奪えない。メイショウタイカンもまったくここに加われず、内から戦法を決めて掛かった感のあるノボジャックが抜ける。ナショナルスパイ、レジェンドハンターも勝つには前につけるしかないという格闘技的な鞍上の閃きを背にこれに続く。1コーナーで手元のストップウォッチは23秒0という前半400mの恐ろしいラップを記録していた。これを単純計算すれば1400mを1分20秒5(レコードは1分26秒0)で駆け抜ける事になる。本来ならば第1回の黒船賞の様にハイペースを中団から伸びた馬が差し切るところだが、残念ながら結果論から言えば勝ち負けになる馬は先行争いの時点で決していた。”前3頭”である。

 ダート競馬独特の位置取りのベクトルを武豊騎手は存分に活用した。それは4コーナーでのちょっとした進路にも表れている。できれば映像で確認して欲しい。そして”気分良く走った”ノボジャックの素晴らしさ。やはり工夫された不断の努力と調教が実ればあれでも止まらないのである。

 ナショナルスパイの底力も認めなければならない。戦法はあれしかなかった。結果論であってもあれしかなかったのだ。恐らく厳しいレースだったのだろうが最後までよく勝ち馬に喰らいついていたのは川崎記念GI2着のプライドだろうか。

 レジェンドハンターはあの流れでも3~4コーナーで見せ場たっぷりの内容を見せている。今回最も先へ向けて希望を繋いだのはこの馬だろう。いずれ復活のグレード勝ちを見せてくれるはず。

 ウォーターダグは力を良く発揮したが、いかんせんあの流れでは勝ち負けに持っていく事は難しいだろう。ただしG3なら好走できる要素を十二分に見せたわけで、メンバー最速の上がりを勲章に今後さらなる活躍のチャンスが与えられる事を期待したい。

 ハカタビッグワンは今回最も力を発揮できなかった一頭である。 内枠でスタートはそこそこだったが、最初のスタンド前で失ったベクトル値を取り戻すのに一杯一杯。これが力ではない。

 ヤマカツスズランはこの後マリーンCに登録があるようだが、初ダートの経験を終えて今後が勝負となる。血統背景には文句がないだけに調教駆けするというダートでの潜在能力を発揮するのはこれからのはずだ。

 キングラシアン・オオギリセイコーの4歳勢には辛いレースとなったが、これからも本格的な厳しいレースに耐え、調教に耐えこの夏へ向けてのの成長を期待しよう。
 ビッグチェイサーは後方に控えてという型のあるタイプだけに今後もこういった安定した内容のレースが出来るだろう。

 4回目にして初めての逃げ切り勝ち。馬に心身両面で負担をかけないそのスタイルは武豊騎手らしいが、本人は表彰式での筆者のインタビューで、「アメリカンスタイルに見えたのですが」という問いに応えて「高知スタイルです」とすぐさまに回答した。これ以上の役者はいない。

高知競馬場内実況  橋口浩二

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