第4回黒船賞、地方他地区の出走予定馬を紹介していこう。
これまでの3回、地方他地区枠の成績を並べてみよう。第1回はトミケンライデン(笠松)6着、アメージングレイス(笠松)7着、ライフアサヒ(名古屋)8着。第2回アイディアルクイン(大井)9着、ランフォータックス(笠松・競走除外)。第3回はシゲノキューティー(佐賀)4着、ゴールデンチェリー(名古屋)7着という結果となる。頭数でも最高3頭、着順も昨年のシゲノキューティーの4着が最高で、どうやら今年は4回目にして最もこの枠が充実したと言えそうである。
まずは大井のナショナルスパイ(牡7歳・高橋三郎厩舎)。98年の夏までJRA900万条件にいた馬だが、大井に移籍した後に頭角を現し99年3月のフロンティアスプリント盃で2着。待望の重賞初勝利は昨年暮れの埼玉新聞杯まで待たねばならなかったが、その間に’00川崎記念(GI)の2着、’00浦和記念(GII)3着、’01川崎記念(GI)4着という実績を残した遅咲きタイプである。フェブラリーSの大敗は度外視しても、直前の大井・金盃の3着から堂々と乗り込んでくる。マルゼンスキー牝馬にこだわる川上悦夫牧場の生産馬で、牝系はフロリースカップのヒンドバース分岐。ローズSのロングレザーなどが出ているファミリーだ。父はおなじみブライアンズタイム。出たとこ好位からというレースが多いだけに流れに乗り切れるかどうかがポイント。FNo.(3-I)。
笠松のハカタビッグワン(牡6歳・飯干秀人厩舎)は参戦12頭の中で何と唯一のダートグレード勝ち馬(’00全日本サラブレッドカップ・GIII)。しかも白山大賞典(GIII)・佐賀記念(GIII)と2度の2着もあってダートグレードでの活躍度は非常に高い、地方馬にあっては大将格と言ってもよかろう。1952年に米国から輸入されたテツノヒビキから伸びる牝系で、60~70年代には活躍馬を複数出しているが近年では本馬が出世頭。黒船賞でも当然人気となるだろう。ある意味スラヴィック産駒らしい適性の広さを見せてきた本馬が、1400mでの強さというはっきりとした結果を残せるかどうか注目したい。FNo.(3-g)。
同じ笠松のレジェンドハンター(牡4歳・高田勝良厩舎)は2歳時にデイリー杯3歳S(GII)を優勝、地方在籍での朝日杯3歳S(GI)優勝なるかという話題をさらった(結果エイシンプレストンに惜敗の2着)人気馬。その後JRAへの挑戦はマイルCSステップのスワンS16着で順調にはいかなかったが、復帰戦となった今年2月28日の笠松の東海クラウンを快勝。ダート短距離路線の春の緒戦、黒船賞で全国区への挑戦を再開する。スワンズウッドグローヴの名牝系といえばサクラチヨノオー・ホクトオー・トウコウの3兄弟にサクラセカイオーとキラ星の如く活躍馬が並ぶ。父サクラダイオーとて持ち込みのサニースワップスにマルゼンスキー。芝のGIIを逃げ切れるだけのスピードが楽しみだ。FNo.(16-a)。
安藤勝己騎手はランフォータックスの無念の除外も含めて黒船賞に3度目の登場。第1回以来となるアンカツ・アンミツ揃い踏みも今回のレースを盛り上げる話題となるだろう。
佐賀のキングラシアン(牡4歳・山田勇厩舎)は今年1月4日に佐賀金盃を勝った地元のナンバーワンホース。地元の、九州競馬のエースとして臨んだ佐賀記念(GIII)では7着と敗れたが、今後の期待度も高い九州のエースだ。九州競馬の初年度に荒尾ダービーを優勝、秋にも肥後菊賞を勝って荒尾で強い印象だが、サラブレッドチャレンジカップ(GIII)5着、そして前述の金盃勝ちがキラリと光る。祖母は桜花賞馬ニットウチドリの妹、近親にユキノサンライズがいる母系でFNo.(16-b)。ラシアンルーブルはもう少しダートでの活躍馬が出てもいい種牡馬だと思うが、本馬にラシアンゴールド(フェブラリーH、帝王賞)並みの活躍を期待しよう。
最後に補欠1となっているライジングタイド(中津)も、地元のナンバーワンホースで底を見せていないという観点から、心情的な部分を排除しても有馬澄男騎手ともども見てみたかった気持ちがある、と言う事を付け加えておこう。
高知競馬場内実況 橋口浩二