黒潮菊花賞・荒鷲賞回顧

 高知競馬のサラブレッド系・アラブ系それぞれの3歳重賞、三冠目を賭けての最終戦が終了した。いずれも不良馬場で行われた黒潮菊花賞と荒鷲賞を振り返っておこう。

 黒潮菊花賞は単勝一番人気がカチマサル。馬番連勝複式で並べると、カチマサル・エイシンプサン・クロシオタイガー・マルチラブリーという順での人気が伺える。
 カチマサルは高知優駿の勝ち馬であり、またその高知優駿の勝ちっぷりが印象的だった。中ほどの枠で不良馬場という条件は決してこの馬にとってベストではないが、前走のC級4組でモンドノスケに1馬身半差の3着と追い込んで良馬場でハロン平均13秒2なら地力は高い。
 エイシンプサンはJRA未勝利からの移籍後、高知競馬で5戦5勝という戦績もさることながらレースセンスの良さ・競走意欲の高さなどを見せ付けている。問題は初距離で相手が一気に強くなる事で、小柄な馬体でどこまでやれるか一番の注目株となった。
 クロシオタイガーは黒潮菊花賞のTRを9馬身差で圧勝。不良馬場にも良績があって距離には不安がない。あとはもうひたすら相手関係だけという事になる。
 マルチラブリーは1400mで不良馬場という恐らくベストの条件だった黒潮皐月賞を快勝。高知優駿は先行策を取らずに若干窮屈な競馬で3着。距離不安については結論が出ぬままこのレースに臨む事になった。
 もう一頭、リードチヤンピオンが惑星となる。昨秋の現役競走馬トレードセールで北海道のJRA認定競走勝ち馬として上場され、セール最高値で購買されて高知競馬へやってきた馬だけに期待も大きかったが、胴の長いすらりとした体系ながらまだ筋肉が本物でなかったのかこの春は脇役の一頭という成績でしかない。しかしこの秋古馬相手の一般戦でこれまでと違う末脚を見せ始めていた。腰に力が付いたのだろうか、こういう体型の馬ならば距離はこなすはずで、あとは不良馬場でどこまで追い込めるかといういうところ。

 レースはマルチラブリーが先行して前半は39秒台。徳留騎手もガッチリとスローに落としたと述懐している。驚いたのは赤岡修次騎手のスタート後のエピソード。「声を出し気合を付けて前に出した」との言葉通り、カチマサルが先行集団に上がる。これで各馬の戦法に変化があったのかどうか。一番人気の馬が先行馬マークの形を取ると、なかなか他の馬は動きにくいものだ。3コーナーではこらえきれずにマルチラブリーが脱落。カチマサルが抜け出しに掛かると、ここでエイシンプサンが一気に上昇、連れてリードチヤンピオンも不良馬場をものともせずグイグイと上がっていく。クロシオ
タイガーも自分の力は出しているが、やはり上位3頭ほどの切れはないか直線では3頭の争いに。先に動いている分だけカチマサルもいつものように果てしなく伸びるような脚ではないが、それでも特徴の首を低く下げての力走を見せる。エクスキューズ(注文)が多くモロさを露呈していた春先とは違う。エイシンプサンは大外から伸びる、そして間からリードチヤンピオンの豪快な追い込み…!!
 
 勝ち時計はもうひとつだったが、秋になっての成長も含め各馬にとっては力を出し切った感のある今年の黒潮菊花賞。この世代の馬達には今後の成長しだいでそれぞれへの評価を与えたい。

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 一方、アラブの荒鷲賞はマンペイ記念馬のチュウオーブラックやユニークな馬名と意外性で人気のデンセツノオトコらがメンバーになく、少々寂しい8頭立てとなった。
 
 こちらは枠番連勝複式の人気順を追ってみよう。8枠のハナサキボタン・7枠プレシャスボーイ・1枠トサノキュータが3強と見られるオッズを形成。その後に6枠レガシークラウンだが、ここは少し離れている。

 ハマサキボタンは北海道デビューで2戦目を勝ち素質を見せていいたが、高知移籍後にまた力を付けてこの夏は大きく飛躍した。4月22日のD級戦から一般戦ばかりを走って2度の3連勝を含む6勝を挙げた。トライバルセンプーの産駒で馬格は中位だが、スピードとパワーのバランスも良く何より自分でレースを作れるタイプというのが心強い。人馬ともに重賞初制覇を賭けてここに挑む。
 プレシャスボーイは2歳時の銀の鞍賞を手始めに、マンペイ記念で2着、南国優駿を優勝して、福山の瀬戸内賞で3着と、この世代のナンバーワンホースである。この後は福山の全日本アラブグランプリを目指す事になっており、そこにつながるレースをしたいところである。ブリンカー着用でも分かるように問題は絶対能力を引き出すための工夫で、道中ズブく、抜ければソラを使うという部分の矯正が大変だ。福山遠征でもずいぶんと汗をかいて、慌てて周辺を引き運動したというあたりスタッフの苦労はさぞかしであろう。直前の一般戦でも決していい内容は見せておらず、3歳相手でも楽観
できないという見方がオッズにも現れた。
 「3強の3番手」トサノキュータはデビュー4連勝のあと2着が続き、銀の鞍賞でもプレシャスボーイのクビ差2着だった。春先は順調さを欠き、休養を挟んで南国優駿では4着。底力は認めるもののプレシャスボーイとは差が開いた印象だった。ところが夏からはD級条件を間隔を開けながら戦って3連勝。荒鷲賞TRも勝って4連勝で臨めるのだから力強い。TRはなかなかの好時計である。

 レースは3強対決らしい展開が明暗を分けた。
先行する形になったのはフトーキサだが、花本正三騎手プレシャスボーイがなんとか主導権を握ろうとして先行集団におっつけながら加わる。スロペースなら追走もなんとかなりそうだ。ここでハナサキボタンの緒方洋介騎手が、前走のC級特別戦で成功した好位での競馬に挑む。プレシャスボーイ完全マーク作戦だ。ところがこれで漁夫の利を得るのがトサノキュータの徳留康豊騎手。あっさりとこの先行争いから引いて、単騎の形でじっくりと追走している。元々内枠だっただけに距離のロスもない理想の展開だ。一方プレシャスボーイはどうも手応えがない。マークしているはずのハナサキボタ
ンも若干掛かり気味で進む。この際ハナサキボタンは「行ってしまった方が良かったのか」は神のみぞ知るところだが、緒方洋介騎手の経験からその判断を引き出せというのはまだ酷かもしれない。そして勝負所がやってくる。内から抜け出しに掛かるトサノキュータと、外を伸びようというハナサキボタン。プレシャスボーイの反応が鈍い。さすがに追い込んでくるレガシークラウンには抜かせなかったが、プレシャスボーイの二冠制覇はならず。そしてゴール板はトサノキュータが駆け抜けていく。

 少頭数競馬ならではの展開がモノを言った荒鷲賞。
結果はともかく、こちらも特に上位3頭は先が楽しみだ。

 またプレシャスボーイは全日本アラブグランプリに正式に選定され出走する予定。2度目の福山遠征で全国の強豪3歳馬にどこまで迫れるか。引き続き注目しよう。

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