第10回黒船賞&第21回全日本新人王回顧

 3月21日(祝)、“高知競馬春祭り”の一日は天候にも恵まれ盛況だった。
メインの黒船賞はJRAのリミットレスビッドが、そして全日本新人王は岩手代表の山本聡哉騎手がそれぞれ優勝。条件交流はりまや盃も含めさすがに見応えのあるレースばかり…。

 それではその黒船賞と全日本新人王を振り返ってみよう。

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楽天競馬協賛 農林水産大臣賞典
第10回 黒船賞(GIII)
(サラブレッド系4歳以上OP 指定交流
 別定 1400m)

1着9番 リミットレスビッド 岩田康誠58
 1:28:9 37.9 2番人気
2着3番 ニホンピロサート  安藤勝己57
 3馬身 38.1 3番人気
3着2番 キングスゾーン   岡部 誠56
 3/4 38.7 6番人気
4着11番 ロッキーアピール  佐藤博紀57
 21/2 39.5 7番人気
5着10番 メイショウバトラー 武  豊55
 アタマ 38.9 1番人気
6着6番 ベストタイザン   下原 理56
 1馬身 38.7 5番人気
7着7番 ノボトゥルー    福永祐一59
 11/2 38.7 4番人気
8着5番 マリスブラッシュ  倉兼育康56
 1馬身 38.4 8番人気
9着12番 ジョイーレ     川原正一56
 1馬身 39.0 9番人気
10着8番 ストロングボス   宮川 実56
 3馬身 41.1 11番人気
11着4番 チェリーキング   西川敏弘56
 クビ  39.8 10番人気
12着1番 マルチロードスター 赤岡修次56
 21/2 41.3 12番人気

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 ストロングボスとロッキーアピールが2頭で抜け出した先行争い。早めに好位まで上がったリミットレスビッド。やや遅れたスタートのためリミットレスビッドを見る形を余儀なくされたメイショウバトラー。中途半端にならぬよう内目の射程圏内でレースを進めようというキングスゾーン。昨年より追走が楽に見えるニホンピロサート。中団の外目を周る形になった兵庫の2騎。手元の時計は最初の2F通過を24秒0と計時した。

 このラップは第4回の勝ち馬ノボジャックが自ら刻んだそれより1秒ほど遅い。
近年は比較的前半が緩くなる傾向が見られるが、これは高知競馬場の馬場の特性、「1~2コーナーがきつくて3~4コーナーがまくりやすい」を各地区の騎手が把握したためではないかという見方がある。第1回黒船賞の先行勢が崩れた展開は強いインパクトを持つだけに、「1コーナーへの入り方」を意識しているのではないかというわけだ。

 5番手を悠々と追走するリミットレスビッドと岩田康誠騎手。やや行きたがる程の手応えだが、向正面では「まだよ、まだよ」という手綱捌き。サンデーサイレンス産駒で芝の重賞勝ち馬を続々と出す母系の出身だが、前脚をダイナミックにかくフォームは時計の掛かるダートをものともしない。ゴーサインを受けると外目からグイグイと上昇してロッキーアピールを捉えに行く。後方からはニホンピロサートが差を詰めてくるが、直線でサッと後続を突き放すと最後は楽走。
3馬身差の快勝で重賞5勝目を挙げた。

 ニホンピロサートは昨年よりレース振りが良くなっていた。体調が良いと伝え聞いてはいたし、根岸Sの内容も年齢を感じさせないものだったが、やはりと唸らされる2着。道中置かれ気味だった昨年も最後は差を詰めて3着だから、今年の出来なら相手次第で好勝負必至であったか。

 地方馬最先着のキングスゾーンは岡部誠騎手が志願の騎乗だったという。前走のダイオライト記念(GII)で悔いの残る騎乗となったが、「次は」という手応えも掴んでいたそうだ。今回は最後までキングスゾーンの闘志を絶えさせない見事な騎乗で3着。当日の条件交流「はりまや盃」ではJRA馬・ゴールデンラダーを勝利に導いており、大いにアピールする一日となった。

 ロッキーアピールは過去2年が3着、2着だが、今年は休み明けということもあって人気を落とした。しかし粘りに粘って直線半ばまで2番手を守っての4着だから、やはり相当な能力と馬場・距離適性を示したといえよう。

 メイショウバトラーは昨年ダート戦線に向かった頃の馬力が感じられなかった。
牝馬による黒船賞初制覇が期待されたが、キョウエイマーチの3着を超えられず。
スタートが一息で、最後の直線でも伸び切れなかった。これが実力ではなかろう。

 今年もJRA勢の1・2・3フィニッシュとはならず、地方馬が3,4着に入って気を吐いたが、やはり寂しいのは地元馬の最先着が8着(マリスブラッシュ)だったことか。スローペースとまではいわないが、今後もこういった落ち着いた流れが予測されるだけに地元馬のレース対策に工夫が必要となる。

 10回目を迎えて、レースとしてはかなりこなれた感が出てきた黒船賞。
そんな中で一番注目したいのは1~2着馬の騎手。岩田康誠&安藤勝己1・2フィニッシュという元・地方騎手の活躍が時代の流れを感じさせるではないか。
平成19年度はこれまでにも増して日本競馬の大きな変化の年となろう。
果たして1年後に自分がどんなことを感じ、そして書いているのか?
そんなことを考えさせられる春の日である。

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第21回 全日本新人王争覇戦競走
(サラブレッド系E2選定 馬齢 1400m)

1着2番 ワイワイ      山本聡哉(岩手)
1:36:1 1番人気
2着6番 タマノジョケツ   竹田吉秀(愛知)
3/4 6番人気
3着4番 クロシオタイガー  塚田祥雄(JRA)
11/2 9番人気
4着1番 コールオン     桑村真明(北海道)
1/2 5番人気
5着8番 サイレントヒメ   赤嶺 亮(大井)
1/2 4番人気
6着3番 シーライアント   青柳健一(佐賀)
11/2 8番人気
7着9番 マクロスピリット  竹田吉孝(金沢)
ハナ  10番人気
8着7番 マナミ       高橋悠里(岩手)
1/2 7番人気
9着5番 グランドアルシュ  山崎 真(浦和)
2馬身 2番人気
10着12番 ダンスオブクイン  武藤隆一(兵庫)
3/4 12番人気
11着11番 タルマエジロー   鮫島良太(JRA)
クビ  3番人気
12着10番 ピンクドラゴン   田中良明(荒尾)
3馬身 11番人気

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 こちらも前半のペースが落ち着いた。E2選定のメンバーでそもそも黒船賞ほどのペースは望むべくはないが、それでもコールオンが行くとあっさりと隊列が定まり、結果として2番手追走で無理することもなく運んだ1番人気のワイワイには願ってもない展開となった。岩手代表の山本聡哉騎手が魅せたのはゴール板で披露したガッツポーズ。完全に抜け出して余裕があったとはいえ、ああいうシーンできっちり決めるにはある程度心身の準備が必要だ。スタージョッキーに不可欠な心構えを持っているのは心強い。

 このスローペースで追い込み勢が軒並み凡走となったが、名古屋・竹田吉秀騎手が操るタマノジョケツはしっかりと伸びてきた。偶然にも騎乗経験がある馬だったのも幸いしたか。ワイワイに4分の3馬身差と、あと一歩のところまで追い詰めただけに本人には悔しい2着だっただろう。
 
 クロシオタイガーの塚田祥雄騎手は道中番手を落としながら盛り返しての3着。
力強い騎乗で“追える”ところをアピールした。今年のJRA代表は成績も例年の水準以上で、さらに名門厩舎の所属だから注目度が高い。なかなか若手が伸びないとされるJRAで期待される2人であろう。

 慣れぬ騎乗馬を懸命に操る12名の新人ジョッキー。手綱が伝えてくるもどかしさでさえ、このレースの魅力。前乗りで鮫島良太が見せた怒涛の追い込みは、そして荒尾・田中良明の新人らしからぬ落ち着き払ったムードはどうだ。毎年のことながら一堂に会した彼らの騎乗を楽しめるのは幸せだなと感じる。

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 こうして高知競馬春祭りが、そして先日の開催をもって高知競馬の平成18年度が終了した。再びこうした興味深いレースを開催するためにも、新年度は「開幕ダッシュ」が必要になる。この1年の持つ意味は重い。これまでの頑張りやファン・関係者の支援の想いが報われるか、水泡に帰すか。“春祭り”の成功に浮かれている暇はない。

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