第9回黒船賞情報4~地元高知の奮起を!

 第9回黒船賞情報、4回目は地元・高知の代表馬を紹介していく。

 地元馬の活躍といえばやはり第1回の優勝馬リバーセキトバが代表となるが、
それを含めた入着馬を表にすると以下のようになる。

第1回
1着リバーセキトバ
5着マルカイッキュウ
第2回
3着メイショウタイカン
4着ブリッジテイオー
5着リバーセキトバ
第3回
5着トウショウライデン
第4回
4着ウォーターダグ
第5回
3着ライジングハント
第6回
5着ジョイフライト
第7回
(6着にベストライナー)
第8回
5着ハイフレンドピュア

勝ち馬の出た第1回や、2着争いを演じたメイショウタイカン始め3頭が入着した第2回の成績はやはり輝かしい。それだけに地元馬の入着がなかった第7回を筆頭に、ここ3年5着が精一杯という内容が残念である。馬券圏内つまり3着以内となると第5回のライジングハント以来出ていないが、そのライジングハントが最低人気での激走だったのだから、地の利を生かしての奮闘に期待するところである。今年は移籍間もない2頭も加わって戦力的には新味のあるラインアップとなった。

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以下データの成績は3月7日現在
統一グレードレースはG1、G2、G3と表記する
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ゲイリーファング 騎乗予定騎手 花本正三

6歳牡 鹿毛
父 Marquetry
母 Eye Bright
母父 Chief’s Crown
母母 A Little Kiss
調教師 宮路洋一(高知)
生年月日 2000年5月1日
生産牧場 Tokyo Throughbred B

通算成績33戦12勝
主な勝ち鞍 06アメジスト特別
2歳 出走なし
3歳 JRA阪神でD千二新馬勝ち。旭川500万交流で3着
4歳 長休後2戦して兵庫へ転入。翌年2月まで破竹の6連勝
5歳 重賞・白鷺賞で連勝ストップ。重賞・園田フレンドリーC3着など活躍。12月に高知へ。緒戦のA2を快勝した。
6歳 A級選抜2連勝。アメジスト特別で黒船賞の優先出走権を得る。前走はA級選抜で6着。

 ゲイリーファングは昨年12月の高知転入以来4戦3勝。いかにも高知の水が合ったという感じの3連勝は、短距離血統らしい活力のあるレース内容だった。前走のだるま夕日特別は6着に敗れているが、ハイペースを好位で早めに追いかける展開が向かなかったようだ。本番では差す競馬になるだろう。兵庫でも中団からの競馬が定番だった。
短距離血統と書いたが、何しろ父のマーケトリーはBCスプリントの勝ち馬を2頭(アータックス、スクワートルスクワート)出しており、日本での産駒もエイシンクリバーン・ダブルブラザー・キングミラーマンらダートのマイル以下で勝ち星を挙げた馬ばかりである。本馬は母系が優秀で、祖母ア・リル・キスはAJC Flight S、QTC Queensland OaksとオーストラリアのG1を2勝しているし、ブルードメアサイヤーもチーフズクラウンだから配合次第では中距離をこなすタイプとなったかもしれないが、中央での成績や兵庫での戦績を考えればマーケトリー産駒らしい勝ち気な部分が良く出ているようだ。過去の実績については園田フレンドリーCで3着となったのが最高で、この時の勝ち馬シンドバッドのダートグレード成績をものさしにすると、やや物足りない面もある。ただし高知所属馬として高知競馬場でのレースに臨む以上はプラスアルファを考えるのも当然。短距離向きの資質を末脚に転化して、地元で最初に優先出走権を得た馬の意地を見せたい。

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ニッタレヴュー 騎乗予定騎手 赤岡修次

8歳牡 鹿毛
父 パークリージエント
母 ベルリンガス
母父 ラシアンボンド
母母 ティンカベル
調教師 雑賀秀介(高知)
生年月日 1998年3月18日
生産牧場 斉藤安行

通算成績84戦20勝
主な勝ち鞍 05笠松スプリング争覇
2歳 出走なし
3歳 高崎デビュー3連勝など4勝をマーク
4歳 大井転入。C1特別戦まで5勝
5歳 大井B3勝ち。10月に浦和転入。浦和のB2で2勝。
6歳 浦和B級1勝の後、名古屋へ転厩。OP特別を制し、重賞戦線へ。
7歳 6度目の重賞挑戦となった笠松・スプリング争覇で初制覇
8歳 2月に高知転入。A2、だるま夕日特別と連勝中。

 高崎でデビューしたのが2001年5月だったから間もなく5年の歳月が経とうとしている。ここまで84戦という戦歴以上に、これまで走った競馬場が8ヶ所、所属した厩舎が5ヶ所という経歴が目をひく。どこの競馬場でもしっかりと勝ち星を納めており、南関東で力を付けた後に名古屋で一線級に踊り出た。重賞初制覇は更に遅れて7歳の春、笠松のスプリング争覇。6歳時にダートグレード競走を2度経験しており、今回は満を持しての黒船賞挑戦となる。
ここまでの経験を糧にしてまた一歩ステップアップできるか?高知での2戦はレースセンスの良さを披露、自在性がある。データから見ると1400mは7勝を挙げている得意距離。不良馬場を苦にするタイプでもない。また注目は鞍上を予定する赤岡修次騎手。今年に入ってからの勝ち鞍の伸びは尋常ではない。現在一番勢いのある地元騎手を背にするアドバンテージも大きかろう。
父パークリージェントはダートG1馬リージェントブラフでもお馴染みだが、地方競馬でリーディングサイヤーとなっているように下級条件からグレード級までコンスタントに活躍馬を送り出す。高齢となっても活躍できるのは本馬にも受け継がれる特徴だ。祖母ティンカベルは輸入馬で、4代母Matriarch の仔に種牡馬ターゴワイス、孫からマニラ、ステートリードン兄弟らが出ている。

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マリスブラッシュ 騎乗予定騎手 鷹野宏史

5歳牡 鹿毛
父 スピニングワールド
母 シネマライフ
母父 マルゼンスキー
母母 デイオラマ
調教師 田中譲二(高知)
生年月日 2001年5月5日
生産牧場 隆栄牧場

通算成績44戦5勝
主な勝ち鞍 06アクアマリン特別
2歳 JRAデビュー。11戦目のD千m戦で初勝利を掴む。
3歳 500万下では4着まで
4歳 3月に兵庫転厩。A1特別で2着ある。8月に高知転入、緒戦快勝。珊瑚冠賞4着。A級選抜を2勝
5歳 アクアマリン特別を逃げ切って黒船賞G3の優先出走権を獲得

 「邪気を払う」という意味の馬名を持つマリスブラッシュは、ヨシノイチバンボシと並んでこの黒船賞で最も若い5歳世代の馬。BCマイル、ムーランドロンシャン賞、愛二千G、ジャックルマロワ賞2回など欧米マイルチャンピオンの名を欲しいままにしたスピニングワールドが、1年だけ日本で供用された時に配合されて生まれた“マイル王の仔”である。ヌレイエフ系の宿命とも言える“強さと脆さの同居”はこの馬にも見受けられ、鮮やかな快勝とあっさりとした敗戦のギャップがいかにも“らしい”。裏を返せばツボにはまった場合の能力の高さを示しているのだが、例えば昨年10月23日のオパール特別は好時計で一気の逃げ切りでノボエンペラー、ストロングボスらを封じている。
そこから3連敗を挟んで12月18日のターコイズ特別では好位抜け出しでシンボリオレゴン以下を完封。しかしここからまた5連敗で黒船賞出走に後がなくなってきた前走のアクアマリン特別は、超スローペースの先行策がはまって鮮やかな逃げ切り勝ち…。個性と言えばこれも個性。潜在能力は相当なものを感じるだけに、はたして黒船賞で“はまる”のかどうか、期待したい。
祖母はアメリカからの輸入馬。兄マサアンビションは中央4勝。近親にタイキブライドルなどがいる。

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ストロングボス 騎乗予定騎手 宮川実

8歳牡 鹿毛
父 Capote
母 Spring Valley
母父 Affirmed
母母 Honor an Offer
調教師 打越初男(高知)
生年月日 1998年3月28日
生産牧場 Echo Valley Horse Fa

通算成績52戦33勝
主な勝ち鞍 04,05建依別賞
2歳 出走なし
3歳 8月に大井で2着に1秒6差を付ける圧勝デビューも、そのまま長休に
4歳 出走なし
5歳 高知に転入。破竹の進撃で大井のデビューから都合13連勝をマーク。
6歳 だるま夕日特別で2着、JRA交流はりまや盃で4着など活躍。自己条件から6連勝でOP特別をも制し、夏の短距離重賞・建依別賞制覇。秋には南部杯G1へも遠征(10着)。高知県知事賞は2着。
7歳 黒船賞G3は大敗も、二十四万石賞・建依別賞と重賞2勝
8歳 A級選抜を3戦して1勝2着1回3着1回

 大井1戦1勝のみで高知に移籍してきた準生え抜き馬。スケールの大きい雄大な馬体が、脚部不安という形で逆に大成を阻んだ若駒の頃。しかし打越初男厩舎スタッフの我慢強い努力が実り、南部杯G1という晴れの舞台に立てるまでに仕上げたことが高知競馬全体の誇りでもある。もし、はないことは承知だが、この馬の前脚が健康であればどれだけの走りを見せたのだろうかといつも思う。いわゆるメイチの追い切りなどは出来ず、それでも建依別賞2連覇、二十四万石賞圧勝などの結果を出し、高知のボスと呼ばれ続けて来た。黒船賞は昨年に続いて2度目の出走となるが、その昨年はレース中に落鉄があって悔しい思いをしている。今年こそはストロングボスなりの万全の状態で臨んで欲しいものである。体格、体形、戦法、血統全てアメリカンな本馬はカポウティの産駒。パワーの必要な馬場には滅法強い。ゴール前の競り合いでももうひと伸びできる勝負根性も健在。データ的に馬場による得手不得手はなさそうだが、瞬発力勝負だと分が悪いだろう。今回は先行馬が揃ったメンバー構成ということもあって、決して楽な展開にはならないだろうが、それでもストロングボスらしい競馬を見せて欲しい。
カポウティは米三冠馬シアトルスルーの直仔でBCジュベナイルの勝ち馬。母の父アファームドも米三冠馬。祖母の産駒にケンタッキーオークスのSardula、ガゼルHのImperial Gesture が出ている。また弟のフサイチアンテウスも輸入されていて中央2勝を挙げている。

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