第9回黒船賞情報3~JRA勢はエキスパート軍団!

 第9回黒船賞情報、3回目は中央競馬からの出走馬を紹介する。

 過去8回中7勝を挙げている中央馬が今年も中心の存在となるのは間違いないだろう。今回のメンバーはダートグレードの勝ち星、4頭合わせて18(うちG1は2勝)というダートスプリントのエキスパート軍団となった。先に紹介した地方他地区のメンバーに先行タイプが多い点は展開予想の大きなファクターだが、リミットレスビッドが回避してディバインシルバーが参戦とくれば更に先行争いは激化しよう。そして注目のJBCスプリント勝ち馬ブルーコンコルドの差し脚はいかに…。以下、4頭共が上位争いを演じる能力を持つ最強軍団のプロフィールである。 

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以下データの成績は3月7日現在
統一グレードレースはG1、G2、G3と表記する
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ニホンピロサート

牡8歳 黒鹿毛
父 スターオブコジーン
母 ニホンピロポリーナ
母父 ニホンピロウイナー
母母 ニホンピロクリア
調教師 目野哲也(JRA)
生年月日 1998年4月19日
生産牧場 橋爪松夫

通算成績44戦13勝
主な勝ち鞍 05兵庫ゴールドトロフィーG3
旧3歳 出走なし
 3歳 2,3戦目のD千二を連勝。更に藤森特別、元町SとD短距離を4勝
 4歳 安芸S、太秦S、OPの霜月Sを勝ってとちぎマロニエCG3を3着
 5歳 年明け緒戦のガーネットSG3で重賞初制覇、ギャラクシーS勝ち
 6歳 プロキオンS、サマーチャンピオン(共にG3)と重賞2勝
 7歳 さきたま杯、兵庫ゴールドトロフィー(共にG3)を勝つ
 8歳 前走のフェブラリーSG1は14着

 実は3年前にも黒船賞へ登録があったが直前に回避。今度こそは高知で勇姿が見られるかというニホンピロサート。母の父があのマイル王ニホンピロウイナーで、叔父にあたるのが南部杯G1を圧倒的なパフォーマンスで制したニホンピロジュピタという“ニホンピロ血統”の馬である。ダートグレード競走は合計5勝だが、中でも昨年、7歳時に挙げたG3での2勝がキラリと光る。3年前の登録時には本馬はガーネットSG3で重賞初制覇、更に根岸SG3でも2着という“上がり馬”だった。3年経つと勢力図も変わり、力の衰えが顕著になったりするものだが、どっこい昨年の12月に兵庫GTでメイショウボーラー、アグネスジェダイら活きのいいメンバーを負かしてのG3勝ちなのだから驚きである。今年に入ってからの2戦はやや精彩を欠いたが、地方競馬のダート千四は得意とする条件。戦法に幅があって、馬場も問わないタイプであり、古豪の逆襲に期待。

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ノボトゥルー

牡10歳 鹿毛
父 Broad Brush
母 Nastique
母父 Naskra
母母 La Fantastique
調教師 森秀行(JRA)
生年月日 1996年3月27日
生産牧場 Mr.&Mrs.J.S.Mos

通算成績71戦11勝
主な勝ち鞍 01フェブラリーSG1
旧3歳 デビュー3戦目のD千六で初勝利
旧4歳 D千六で2勝目。ユニコーンSG3は10着に敗れる
旧5歳 伊良湖特別などダート戦で2勝をマーク
 5歳 年明けからジャニュアリーS、根岸SG3、フェブラリーSG1と3連勝その後ドバイ遠征以外は、すべてダートグレード競走に出走
 6歳 黒船賞G3は7着。とちぎマロニエC、兵庫ゴールドT(共にG3)連勝
 7歳 2度目の黒船賞G3は2着。さきたま杯G3勝ち
 8歳 3度目の黒船賞G3を2着。とちぎマロニエCG3を2度目の制覇
 9歳 4度目の黒船賞G3も2着。JBCスプリントG1で3着
10歳 前走は佐賀記念G3で4着

 5度目の黒船賞登場となるノボトゥルー。これまでに走ったダートグレード競走が通算でなんと51戦にもなる。その成績は51-6-11-11-23(51戦6勝2着11回3着11回4着以下23回)と見事なもので、これを中央・地方の別に分けると中央2-1-2-6、地方4-10-9-17。またデビュー以来の総収得賞金6億6千万円の内訳は、中央・3億20万円に対し、地方3億6千7百75万円。正にダートグレード競走の屋台骨を支えてきた馬だという証明になっている。どちらかといえば小柄な体格ながら、長い休養もなく戦い続け、勝ちきれぬレースでもしっかりと上位に食い込むその姿には頭が下がる。
 さて、もしも今年の黒船賞でノボトゥルーが2着になると4年連続銀メダルという“怪記録”が誕生することになるが、果たして…?10歳になったが、昨年のJBCスプリントG1で3着と奮闘しており、まだまだ衰えたと思わない方がいいだろう。ブロードブラッシュ産駒らしい特異な晩成成長曲線が成せる部分だ。
母はデラウェアH2回などG1を4勝した名牝。兄に岩手の重賞戦線で活躍したハセノデジュール。

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ブルーコンコルド 騎乗予定 幸英明騎手

牡6歳 鹿毛
父 フサイチコンコルド
母 エビスファミリー
母父 ブライアンズタイム
母母 エビスベローチエ
調教師 服部利之(JRA)
生年月日 2000年4月11日
生産牧場 川上悦夫

通算成績27戦8勝
主な勝ち鞍 05JBCスプリントG1
2歳 2戦目芝千二で勝つと、小倉2歳Sで2着、京王杯2歳Sを優勝
3歳 スプリングSの4着から皐月賞へ向かうも13着。その後、芝でやや低迷するも、D千四の霜月Sで久々の勝ち星。
4歳 ガーネットSG3で2着、フェブラリーSG1で5着、ギャラクシーS勝ち
5歳 栗東SからG3のプロキオンS、シリウスS、更にG1のJBCスプリントまで一気の4連勝で頂点に
6歳 前走のフェブラリーSG1を4着

 昨年の優勝馬マイネルセレクトに続き、前年のJBCスプリント馬が参戦してくる。それがこのブルーコンコルドだ。通算8勝中2勝は芝で挙げていて、そのうち1勝は京王杯2歳Sだから芝・ダート双方で重賞勝ちがあることになる。4歳時のフェブラリーSG1でも5着しているが、ダートでの本格化は翌年5歳になってから。栗東Sから怒涛の4連勝で一気にG1制覇へ進んだ勢いは素晴らしかった。しかも名古屋競馬場で行われたJBCスプリントG1では先行したメイショウボーラー(4着)やハタノアドニス(2着)が逃げ粘る展開を、ただ一頭次元の違う末脚でまくっていって5馬身差の圧勝。力でねじ伏せるという非常に豪快な競馬を披露した。小回りコースも展開のアヤもまったく関係ないといったレースぶりが高知競馬場でも再現されるのか、注目だ。前走のフェブラリーSG1ではカネヒキリを始めとする強力メンバーを相手に4着。1F長い距離で、しかも左回りでややモタれ気味だったというから上々の内容だろう。今回のポイントは斤量。2走前のガーネットSG3では59kで5着に敗れている。ただしこの時は休み明けであったし、今回叩き3戦目で右回り1400m戦となれば克服可能と見るがどうだろう。
 父のフサイチコンコルドはデビュー3戦目で日本ダービーを制した“和製ラムタラ”。母系はアストニシメント系で、従兄弟コトブキハワイアンが笠松・スプリング争覇など東海地区の重賞を勝っている。

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ディバインシルバー

牡8歳 栗毛
父 Silver Deputy
母 Be My Baby
母父 Ogygian
母母 Pudical
調教師 和田正道(JRA)
生年月日 1998年3月24日
生産牧場 Redwood Partners

通算成績42戦10勝
主な勝ち鞍 04黒船賞G3
旧3歳 出走なし
 3歳 2戦目のD千二を勝つ、秋にもダート短距離で2連勝
 4歳 橿原Sを勝って都合3連勝、5月にOP特別の栗東Sを優勝。この後からダートグレード戦線へ、この年はG3で3度の2着に。
 5歳 栗東S連覇、8度目の重賞挑戦となったクラスターCG3で初重賞勝ち 
 6歳 黒船賞G3で重賞2勝目、北海道スプリントCG3、全日本サラブレッドカップG3と、この年G3を3勝する
 7歳 連覇を狙った黒船賞G3は7着、クラスターCG3は3度目の2着
 8歳 前走のガーネットSG3は7着

 2年前の覇者である本馬はとにかく徹底したダート短距離のエキスパートである。何が凄いかと言うと、通算42戦全てがダートの短距離戦なのである。
一度たりとも芝を使わず、1400mを越える距離を走ったこともない。一定の水準を超えるスピードを持つ馬であれば、芝を試してみたいとかマイルで新味を、といった誘惑に駆られそうなものだが、この馬の適性を早くから見抜いてこの路線のプロパーとして育て上げたスタッフの信念に敬意を表したい。そして結果として地方交流での獲得額1億9940万円、中央1億3240万円と合わせて3億円以上の賞金という“勲章”を手に入れたのだ。武器はスピードの持続力。二の脚で先行しそのまま押し切るという戦法でG3を4勝している。黒船賞では2年前が不良馬場を単騎先行して逃げ切り、昨年は良馬場で先行するも3コーナー後退という内容だった。これを参考にすればスピードが活きる馬場の方が歓迎か。
 父シルヴァーデピュティは名種牡馬デピュティミニスター産駒。競走成績2戦2勝で引退しているが、種牡馬としてはシルヴァービュレットデー(BCジュベナイルフィリーズ、ケンタッキーオークスなど)らを出して成功。ディバインシルバーの場合はこの父に対し、母の父がダマスカス系のオジジアンだからいかにも“短距離の先行馬”という配合になっている。

キャンペーンなど
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