昨年の黒船賞は前年のJBCスプリントの勝ち馬マイネルセレクトが後続に2馬身差を付けて優勝したが、2~4着の3頭は大激戦で2着ノボトゥルーと3着ロッキーアピールがハナ差、4着ヨシノイチバンボシは更にクビ差という僅差の決着となった。
今年の黒船賞の地方他地区登録馬にロッキーアピールとヨシノイチバンボシの名前があるのを見たとき、昨年のあの激戦が脳裏をよぎったのは当然の事であろう。2頭にとっては借りを返しに来る1戦となろうし、そしてまたここ5年は必ず3着が地方馬(高知・他地区含む)であることを考えても、少なくとも三連単の予想には地方馬の活躍をどう予想するかが大事になるのである。
さあそれでは現時点での地方他地区登録馬を紹介していこう。昨年の3~4着馬を含むなかなかの豪華メンバーだ。
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以下データの成績は3月7日現在
統一グレードレースはG1、G2、G3と表記する
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大井 ベルモントソレイユ
6歳牡 鹿毛
父 アジュディケーティング
母 スターリーナイト
母父 スターオブコジーン
母母 ウィシングフォーアスター
調教師 高橋三郎(大井)
生年月日 2000年5月12日
生産牧場 ムカワベルモントファーム
通算成績31戦7勝
主な勝ち鞍 05ウインタースプリント
2歳 大井競馬場でデビュー2連勝。ハイセイコー記念、京浜盃を共に2着
3歳 羽田盃8着の後休養。復帰戦の東京湾カップは6着
4歳 テレビ埼玉盃で重賞初制覇
5歳 ’05ウインタースプリント優勝、東京盃G2で5着
6歳 報知グランプリカップ3着、前走は東京シティ盃12着
まずは大井のベルモントソレイユ。勝ち鞍のほとんどが先行策。古馬になってからは510~520kg台の馬体重で競馬しているようにアジュディケーティング産駒らしいスピードと突進力を武器にするタイプだ。今回の黒船賞でも先行策は必至か。全7勝中4勝が右回り、高知の深い馬場も恐らく問題ない。
不安があるとすれば不良馬場で連対がない点で、当日は時計の掛かる馬場の方が向くかもしれない。1400mにも良績はないが、1390mで1勝しているのでこちらは気にしなくても良さそうだ。祖母は米国産でミスタープロスペクターの産駒。大井のタフなレースで培われた地力を遺憾なく発揮できれば、その先行力がモノを言うシーンも。
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川崎 ロッキーアピール 予定騎手・山崎誠士
8歳牡 鹿毛
父 Valid Appeal
母 Dame‘s Rocket
母父 Timeless Native
母母 Rinley Rinley
調教師 山崎尋美(川崎)
生年月日 1998年3月4日
生産牧場 Mockingbird Farm,In
通算成績46戦9勝
主な勝ち鞍 04さきたま杯G3
旧3歳 中央競馬D千六新馬勝ち。朝日杯3歳Sに出走して11着。
3歳 D千二で2勝目。ファルコンSで2着。
4歳 芝千四の石清水S勝ち。準OPの大雪ハンデ(D千七)優勝。
5歳 OPクラスで苦戦。北海道を経て川崎へ。OP特別、準重賞を連勝。
6歳 重賞で好走を続け、ついにさきたま杯G3で重賞初制覇
7歳 黒船賞G3で3着。アフターファイブスター賞勝ち。東京盃G2でも3着。
8歳 休み明けの東京シティ盃は9着
昨年はゴール寸前でノボトゥルーに交わされて3着だったが、新人王戦とダブル出場だった山崎誠士騎手を鞍上に見せ場十分のレースを見せた。鞍上が昨年と同じというのも、その成長振りを楽しめる。さて黒船賞後のロッキーアピールはというと、東京盃G2で先行したベルモントソレイユの2番手を進み、結果3着に粘るというレースを見せるなど、相変わらずの先行力と粘りを見せ
ている。ベルモントソレイユと同じく不良馬場よりは時計の掛かる良馬場が得意なデータとなっていて、全9勝の勝ち鞍はダートの良馬場で5、稍重で3、芝の良馬場で1という内訳だ。こちらも時計の掛かる馬場での粘りこみを狙いたい。
血統的にこの粘りの源泉を探るならば、母の父タイムレスネイティヴに注目。アメリカ競馬のエッセンス、先行しての我慢比べを体現するダマスカス系の種牡馬である。
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名古屋 ヨシノイチバンボシ
5歳牡 鹿毛
父 トーヨーリファール
母 スバルマドンナ
母父 シエイデイハイツ
母母 ユーワブルーム
調教師 錦見勇夫(愛知)
生年月日 2001年5月1日
生産牧場 酒井静男
通算成績30戦11勝
主な勝ち鞍 05かきつばた記念G3
2歳 名古屋デビュー2連勝。全日本2歳優駿G1で3着に。
3歳 岐阜金賞で重賞初勝利。全日本サラブレッドカップG3で2着。
4歳 マイル争覇優勝。黒船賞G3で4着などの後、かきつばた記念G3を優勝。サマーチャンピオンG3で2着。JBCスプリントG1は6着だった。他に重賞を2勝しており、充実の4歳シーズンを過ごす。
5歳 マイル争覇2連覇。前走は梅見月杯で5着。
2歳時のG1(全日本2歳優駿)を3着して一躍名を挙げた実戦タイプの強豪馬である。基本的には先行タイプだが、控える競馬も出来て距離もこなす。
相手なりに走れるイメージもあり、昨年の黒船賞4着の後、地元のかきつばた記念ではノボトゥルー以下を抑え堂々と初のG3勝ちを収めている。名古屋大賞典とのダブル登録だが、こちらに出てくれば距離実績でも上位にランクされよう。本馬はまだ不良馬場で走ったことがないので、馬場状態に対するデータは揃っていないが、よほどの雨がない限りは気にしなくても良さそうだ。
父トーヨーリファールはロッキーアピールの父ヴァリッドアピールと同じくインリアリティー系の異色血脈を伝える父系。母スバルマドンナは本馬と同じく名古屋でデビューしてJRA認定競走を勝ち、京都競馬場で500万下特別のかえで賞を優勝。更に東海クイーンCを制した活躍馬。フラストレート系の1分岐でこの一族からは東海菊花賞のマサデンセイが出ているから名古屋の誇る血脈といえるだろう。
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兵庫 シャワーパーティー
8歳牡 青鹿毛
父 ブライアンズタイム
母 アンフイニイ
母父 マルゼンスキー
母母 ラツキージヨオー
調教師 曾和直榮(兵庫)
生年月日 1998年4月21日
生産牧場 ケイアイフアーム
通算成績28戦8勝
主な勝ち鞍 00京都3歳S、04淡路いざなぎ特別
旧3歳 函館で新馬勝ち。京都で黄菊賞、京都3歳Sを連勝。3戦3勝とする。
3歳 きさらぎ賞5着も皐月賞とNHKMCは大敗。秋に準OP六甲アイランドS勝ち。
4歳 1戦後、長期休養に
5歳 兵庫へ移籍、いきなりOP特別を3連勝。中央に復帰してOP特別5着など。
6歳 準OPで入着。再び兵庫に移籍でOP特別勝ち。とちぎマロニエCG3で6着。
7歳 サマーチャンピオンG3を6着。重賞・姫路チャレンジカップで2着となる。
8歳 出走なし
8歳のベテランだが長期の休養があったりして、競走生活6年でレース数は28戦にとどまっている。“順調であればもっと”と思わせる一頭だが、幸いブライアンズタイム産駒は芝・ダート兼用(最近はダート種牡馬にシフトしてきたようだが…)、ダートを舞台に再び輝きを見せて欲しいもの。過去兵庫からの参戦馬はダートグレードでの実績に関わらず好走を見せている(第6回タッチダウンパス…6番人気、第7回ホクザンフィールド…5番人気が共に3着)。
岩田康誠騎手の腕の他にも、競馬場のコース相性のようなものも働いているとすれば見逃せないデータだ。ダートの千四は11戦して3勝。昨年の姫路チャレンジカップ(重賞)ではシンドバッドにコンマ1秒差の2着に迫った実績を持つ。
兄マイヨジョンヌはJRAで芝の重賞3勝。母系は1953年輸入の繁殖牝馬フォルカーから伸びる一族で、オークスのシャダイターキンらが出ている。