第9回黒船賞情報1~過去8回を振り返る

 高知競馬の、ひいては四国で行われる唯一のダートグレード競走、黒船賞。
今年も「高知競馬春祭り」として全日本新人王争覇戦競走などと共に3月20日(月)ゲートインを迎える。これから当ゴールポスト通信ではこの春祭りについて黒船賞を中心に情報をお伝えしていく。

 黒船賞は今年で9回目。ダート短距離路線の春の起点として、過去にはここからJBCスプリント制覇へ繋げていった馬もいる。今年のメンバーの発表まではもう少し時間があるが、JRA・フェブラリーS組が活躍している事もあり、どのような顔ぶれが揃うか楽しみである。

 まずは過去8回の黒船賞を振り返ってみよう。

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☆第1回 1998年3月24日
馬場・稍重

着順 馬名       所属
騎手  斤量 タイム・着差 人気           
1着 リバーセキトバ  (高 知)
北野真弘55 1分29秒1  9  
2着 フジノマッケンオー(JRA)
武 豊 56 2馬身1/2  3
3着 ストーンステッパー(JRA)
熊沢重文57 クビ      1

(短評)ドージマムテキのやや強引な先行策もあって乱ペースに。有力馬の末脚が鈍る所を強襲したのは地元のリバーセキトバ。記念すべき第1回のレースを地元馬が制するというドラマを生んだ。

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☆第2回 1999年3月22日
馬場・不良

着順 馬名       所属
騎手  斤量 タイム・着差   人気
1着 テセウスフリーゼ (JRA)
的場均 56 1分26秒0(R) 1
2着 メイショウモトナリ(JRA)
安田康彦58 4馬身       2
3着 メイショウタイカン(高 知)
中西達也55 アタマ       8

(短評)不良馬場でレコードタイムを叩き出したテセウスフリーゼ。接戦の2着争いはメイショウ冠名の2頭の競り合いの末、中央のメイショウモトナリがアタマ差制した。

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☆第3回 2000年3月21日
馬場・良

着順 馬名       所属
騎手   斤量 タイム・着差 人気
1着 ビーマイナカヤマ (JRA)
鹿戸雄一 56 1分27秒9  2
2着 メイショウモトナリ(JRA)
安田康彦 57 4馬身     3
3着 キョウエイマーチ (JRA)
秋山真一郎57 クビ      1

(短評)桜花賞馬の参戦に俄然盛り上がるも、勝ったのはダートスプリントのプロパー、ビーマイナカヤマ。出遅れながらも先行勢をまとめて捉えた“まくり脚”が印象に残る。

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☆第4回 2001年3月20日
馬場・稍重

着順 馬名       所属
騎手  斤量 タイム・着差 人気
1着 ノボジャック   (JRA)
武 豊 56 1分28秒1  1
2着 ナショナルスパイ (大 井)
的場文男55 3/4馬身   5
3着 レジェンドハンター(笠 松)
安藤勝己56 1馬身     2

(短評)前半の2F23秒0という驚異的なラップを計時しながらも押し切ってみせたノボジャックが、後の快進撃のスタート地点としたレース。
2着に初めて地方他地区遠征馬のナショナルスパイ。

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☆第5回 2002年3月18日
馬場・稍重

着順 馬名       所属
騎手  斤量 タイム・着差 人気
1着 サウスヴィグラス (JRA)
柴田善臣56 1分26秒8  1
2着 ノボジャック   (JRA)
蛯名正義59 8馬身     3
3着 ライジングハント (高 知)
中越豊光55 5馬身    12

(短評)楽な手応えのまま好位から抜け出したサウスヴィグラスが圧勝。高知競馬場での歴代最高パフォーマンスと言える勝ち方だった。3着に最低人気の地元馬、ライジングハントが粘りこんだのが印象的。

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☆第6回 2003年3月21日
馬場・良

着順 馬名       所属
騎手  斤量 タイム・着差 人気
1着 ノボジャック   (JRA)
蛯名正義58 1分27秒5  2
2着 ノボトゥルー   (JRA)
武 豊  58 2馬身     1
3着 タッチダウンパス (兵 庫)
岩田康誠55 7馬身     6

(短評)G1馬同士の一騎打ちはノボジャックが僚馬ノボトゥルーを抑えて優勝。初の黒船賞2勝馬となる。高知初登場の岩田康誠騎手は6番人気馬で3着に追い込み、存在感を見せた。

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☆第7回 2004年3月22日
馬場・不良

着順 馬名        所属
騎手  斤量 タイム・着差 人気
1着 ディバインシルバー (JRA)
安藤勝己57 1分26秒4  2
2着 ノボトゥルー    (JRA)
武 豊 59 1馬身     1
3着 ホクザンフィールド (兵 庫)
岩田康誠56 3馬身     5

(短評)中央競馬所属騎手として初参戦の安藤勝己騎手、ディバインシルバーがスピード豊かに逃げ切って快勝。2着は2年連続ノボトゥルー。3着には、馬は変われどこの年も兵庫の岩田康誠騎手。

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☆第8回 2005年3月21日
馬場・良

着順 馬名       所属
騎手  斤量 タイム・着差 人気
1着 マイネルセレクト (JRA)
武 豊  59 1分28秒4  2
2着 ノボトゥルー   (JRA)
西川敏弘59 2馬身      5
3着 ロッキーアピール (川 崎)
山崎誠士57 ハナ       6

(短評)人気のシーキングザダイヤが出遅れてしまう波乱のスタート。一方でG1馬の底力を見せたマイネルセレクトが快勝。2着には西川敏弘騎手の渾身の騎乗に応えたノボトゥルーが入り、3年連続銀メダル。

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 では、過去の黒船賞の活躍馬の傾向をまとめていこう。
過去8年の1~3着馬(24頭)のデータをひもといていく。

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☆所属…3着以内24頭中、JRAが延べ16頭を送り出す

 JRAが7勝2着7回3着2回と圧倒的だが、1~3着独占は1度しかない。
地元高知は1勝3着2回で、地方他地区は2着1回3着4回という数字である。
三連単まで考えると地方馬で3着以内に入る馬を探す事が重要かもしれない。

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☆1番人気…3勝、3着以内に来る確率は高い

 意外と確実には勝っていない1番人気馬。昨年のシーキングザダイヤ(9着)以外は3着以内は確保しているが、3勝2着2回3着2回という成績になる。
データ的には三連単、馬単の1着固定はやや危険?ちなみに最多勝は2番人気の4勝である。

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☆前走…フェブラリーS組が圧倒

 その年のフェブラリーSを使っていた馬が黒船賞で圧倒的な活躍を見せている。3着以内24頭中延べ14頭、連対馬16頭中延べ12頭という数字だ。
このデータには大井所属のナショナルスパイも含まれている。またフェブラリーSの一桁着順から黒船賞に直行した馬は過去6例あって、

年     馬名
フェブラリーS→黒船賞 人気
2000年 ビーマイナカヤマ
8着→1着  2
2002年 サウスヴィグラス
6着→1着  1
2002年 ノボトゥルー
3着→7着  2
2003年 ノボトゥルー
6着→2着  1
2004年 ノボトゥルー
9着→2着  1
2005年 シーキングザダイヤ
2着→9着  1

となっている。さすがに各馬が人気サイドに推されて結果も出している。ただ2002年のノボトゥルーはこの頃まだもうひとつ地方の馬場への適応ができていなかった印象。更に昨年のシーキングザダイヤはゲートでうるさかったための出遅れが敗因だろう。今回もフェブラリーSの上位馬が参戦する場合は中心視が妥当と思われる。

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☆G1馬…ダートのG1馬は素直に信頼

 斤量は背負うが、過去にダートでG1を勝っている馬は活躍している。

ノボトゥルー   
01年にフェブラリーSを制覇、03~05年の黒船賞で2着
ノボジャック
01年にJBCスプリント勝ち、02年黒船賞2着、03年1着
マイネルセレクト
04年にJBCスプリント勝ち、05年黒船賞1着

 一方で芝のG1馬は

キョウエイマーチ
97年桜花賞勝ち、00年黒船賞 3着
ヤマカツスズラン
99年阪神3歳牝馬S勝ち、01年黒船賞10着

と、もう一息の成績である。

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☆外国産馬…ダートの短距離戦はまかせろ

 外国産馬は第4回のノボジャックが初優勝。それ以降サウスヴィグラス、ノボジャック、ディバインシルバーと外国産馬4連勝だったが、昨年は内国産のマイネルセレクトが制して4勝4敗の五分に。それでもやはりダート1400mという条件にピタリと合うのか外国産馬の活躍は目立っており、3着以内24頭中延べ11頭、連対馬16頭中延べ8頭を占めている。3着以内に入った外国産馬は、地方馬も含めストーンステッパー・ノボジャック・サウスヴィグラス・ライジングハント・ノボトゥルー・ディバインシルバー・ロッキーアピールというラインアップ。

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☆血統…ミスプロかデピュティミニスターか?

 ミスタープロスペクター系の種牡馬にとってはダートの短距離は水を得た魚のような条件と言えるのだろう。黒船賞勝ち馬7頭(ノボジャックが重複するため)の内、4頭がミスタープロスペクター系種牡馬の産駒だ。

テセウスフリーゼ  …ジェイドロバリー
ビーマイナカヤマ  …エブロス
サウスヴィグラス  …エンドスウィープ
マイネルセレクト  …フォーティナイナー

 それから2度勝ったノボジャックとディバインシルバーは共にデピュティミニスター系種牡馬の産駒である。

ノボジャック    …フレンチデピュティ
ディバインシルバー …シルバーデピュティ

 それでは黒船賞3着以内となった24頭で見てみるとどうなるか。

ミスタープロスペクター系 …  6頭(上記4頭に加え、ミスワキ、クラフティプロスペクター)
ナスルーラ系       …  1頭(フジノマッケンオーがブレイヴェストローマン産駒)
リボー系         …延べ2頭(メイショウモトナリが2着2回)
インリアリティ系     …  1頭(ロッキーアピールがヴァリッドアピール産駒)
ドミノ系         …延べ3頭(ノボトゥルーが2着3回)
ロベルト系        …  1頭(ナショナルスパイはブライアンズタイム産駒)

ノーザンダンサー系は更に分けて
デピュティミニスター系  …延べ4頭(ノボジャック2勝2着1回、ディバインシルバー)
ニジンスキー系      …  2頭(リバーセキトバ、レジェンドハンター)
リファール系       …  2頭(キョウエイマーチ、ホクザンフィールド)
ノーザンダンサーその他  …  2頭(メイショウタイカン、タッチダウンパス)

 やはり数字で見てもミスタープロスペクター系は気になるところか。ちなみにノボジャックの母の父はアフリート(ミスタープロスペクター系)である。

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☆騎手…武豊騎手はパーフェクト連対

 さすがというべきかJRA武豊騎手は参戦した5回の騎乗で2勝2着3回と連対を外していない。高知競馬場の特性をよく把握している印象があり、今回も騎乗があるならば当然場内を沸かせてくれるだろう。地元高知の騎手として昨年意地を見せたのは西川敏弘騎手。デムーロ騎手のアクシデントから急遽ノボトゥルーに代打騎乗。5番人気を2着に持ってきた。よく、どの競馬場でもトップクラスの数人は全国どこでも通用すると言われるが、正にそれを証明した1戦だった。

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☆脚質…逃げ・好位抜け出しが有利

 勝ちパターンを分析する。まず逃げ切りは3度。ノボジャック(2回)とディバインシルバーが決めている。好位抜け出しはテセウスフリーゼ、サウスヴィグラス、マイネルセレクトの3頭で、過去8回中6勝が“逃げ・好位抜け出し”という先行タイプの脚質によるものである。第1回のリバーセキトバや第3回のビーマイナカヤマのようにほとんど最後方からのまくりが決まった例もあるが、基本的には先行できないと苦しい展開になりそうだ。
 2~3着争いでも考え方は同じで、フジノマッケンオー、ノボトゥルーが2着に差してきたり、タッチダウンパス、ホクザンフィールドが3着にまくってきたりという例を除けば、ほとんどが先行タイプの粘り込みとなっている。
 
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☆配当…三連単の破壊力に注目

 どうしても有力馬に人気が集中しがちなレースではあるが、昨年の三連単はなんと19万1720円という高配当になった。2,5,6番人気で決ま
ったのだから当然ではあるが、1番人気の勝率がもうひとつという点や、地方馬が3着以内に入る確率が高いデータからも、三連単の破壊力に注目してみるのはひとつの手だ。

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 過去8回の黒船賞を振り返って簡単な分析をしてみたが、やはりこの時期になるとどんな馬が参戦してくるのか、胸を躍らせて待つことになる。また地元・高知競馬の出走馬は優先出走権を賭けた3レースの内、2つのレースが終了しており、すでにゲイリーファングとニッタレビューが切符を手にしている。残り2枚の切符はどの馬の手に…?今週末(3月5日)には1着馬に優先出走権が与えられる残り1競走、アクアマリン特別が行われる予定だ。

 黒船賞情報、次回は先ほど発表された地方他地区からの遠征馬について紹介する。

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