第8回黒船賞の情報を続ける。まずは黒船賞と条件交流・はりまや盃の遠征馬に騎乗する騎手が発表されたのでそちらから。
第8回黒船賞
JRA
シーキングザダイヤ 横山典弘
ディバインシルバー 安藤勝己
ノボトゥルー ミルコ・デムーロ
マイネルセレクト 武豊
地方他地区
ヨシノイチバンボシ 吉田稔
ツルマルザムライ 岩田康誠
ロッキーアピール 山崎誠士
横山典弘騎手とミルコ・デムーロ騎手の2人は条件交流で高知競馬場の馬場を経験済みだが、黒船賞の騎乗は初めてとなる。安藤勝己騎手は昨年ディバインシルバーで、武豊騎手は4年前のノボジャックで黒船賞を制している。
岩田康誠騎手は今回が3年連続3度目の登場。過去2年はタッチダウンパスとホクザンフィールドでいずれも3着。また吉田稔騎手は今回が4度目。過去ライフアサヒ、ゴールデンチェリー、キウィダンスで参戦しているが、今年こその思いがあろう。山崎誠士騎手は自厩舎の馬で新人王とのW騎乗。ロッキーアピールには4度騎乗して1勝2着1回の成績を残している。
はりまや盃
JRA
シルクブラウニー 長谷川浩大
セイウンカラク 武豊
ハローマイフレンド 穂苅寿彦
ビーマイヒーロー ミルコ・デムーロ
ベルモントノーヴァ 横山典弘
ロックバルスカ 岩田康誠
さあ、それでは黒船賞出走馬の紹介、地元代表馬である。
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ストロングボス
牡 鹿毛 7歳
打越初男厩舎
父 Capote
母 Spring Valley
母の父 Affirmed
通算成績 35戦27勝
(中央出走なし)
主な勝ち鞍
04年建依別賞(高知・重賞)
昨夏の1400m重賞・建依別賞を制して高知の短距離王者に輝いた同馬。実質的なトライアルであるだるま夕日特別を僅差ながら貫禄勝ちして堂々黒船賞に駒を進めてきた。
大型馬ゆえの脚部不安で順調な出世とは言えなかったが、大井競馬場でのデビュー戦を圧勝すると、長期休養を挟んだ移籍先の高知競馬でも連戦連勝で大井・高知でデビュー以来の連勝を13と伸ばした。その後はオープンクラスへ果敢に挑んだ04年だるま夕日特別でベストライナーの2着。そのベストライナーが昨年の黒船賞でやや不利を受けながら6着だから潜在能力は相当なもの。平成16年度に入ってからはあっという間にトップホースに上り詰め、注目となったイブキライズアップとの対決も2連勝してみせて、そのまま建依別賞で重賞初制覇を果たす。秋には盛岡のG1南部杯に挑んで10着。道中は行きたがる素振りを見せるほどの手応えだったから初輸送などの条件を考えれば着順ほど負けた感じのしないまずまずの内容だった。その後は長距離戦の高知県知事賞で2着。だるま夕日特別を出遅れながら制した事で1400mならという意地も見せたいところだ。
(ストロングボスの血統については当コラムから一部再掲する)
父のCapote(カポーティ)は米三冠馬シアトルスルーの産駒。デビュー2戦目から3連勝でブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(G1)を制し全米2歳チャンピオンに輝いた。しかしケンタッキーダービーでは競走を中止するなど不運もあって3歳時に勝ち星はなく、結局そのまま引退。種牡馬としてはBCジュヴェナイル父子制覇となったボストンハーバーを出すなど成功。仕上がりが早く、ダート・芝双方でスピード豊かな産駒を多数送り出している。
ただしどちらかと言えば産駒には早熟タイプが多い印象がある。
母のSpring Valleyも父が米三冠馬のアファームドで、祖父がいずれも米三冠馬という組み合わせになっている。母の父としてのアファームドは大変優秀で、日本ではスティンガー、ナリタトップロード、メイショウドトウという3頭のG1馬など活躍馬を多数送る。アファームド自体がフェアプレー、テディ、ピーターパンなど優秀なアメリカ血脈を豊富に含んでいる為、種牡馬の能力を引き出しやすいという理由が考えられる。更にストロングボスの場合は祖母の父にリボー系のホイストザフラッグを持っており、父の弱点である成長力や底力といったものを母系で補っている。これならレースをそれほど使っていない点も合わせ、今後もまだまだ伸びしろが残っていそうだ。
異父弟のフサイチアンテウス(父コジーン)は現3歳でここまでの成績は5戦2勝となかなかのもの。芝の新馬(1200m)と500万下のダート戦(1200m)を勝っている、兄と同じく馬体重520キロ台の大型馬。7着に敗れたクリスタルカップ(G3)も大外からじわじわ差を詰めたが、現時点ではいかにも大跳びで器用さに欠けるといった印象か。先々楽しみではある。
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マルタカサザン
牡 鹿毛 6歳
炭田健二厩舎
父 マルタカトウコウ
母 ラビアングロリア
母の父 ホリスキー
通算成績 38戦3勝(うち中央24戦0勝)
主な勝ち鞍 05年 龍河洞特別(高知)
笠松から高知競馬へ転入して2戦2勝。2歳時に北海道で認定競走を勝ちJRAへ移籍したが500万下で2度の2着までという成績。笠松でもB級2~3着の惜敗タイプだったが、高知の水が合ったか、他の笠松からの移籍馬に格上がいたにも関わらずこの馬が一番走っている。前々走の高知1400mの時計はまずまず優秀なもので、前年黒船賞6着のベストライナーが同じ良馬場で勝った04年だるま夕日特別よりも1秒3ほど速い。順調度なら地元ではこちらを狙ってみる手も。
(血統)
父マルタカトウコウはダート短距離の活躍馬。重賞には手が届かなかったが、ダートのOP特別を4勝している。父系はマルゼンスキー、サクラトウコウという流れ。自らの冠名馬で産駒を走らせるオーナーの愛情に応えるようなマルタカサザンの劇走に期待。
4代母のハーバーアトリはエリザベス女王杯の3着馬。ハーバーの冠号の活躍馬が一族に並んでいるが、ハーバーアトリの兄に当るのが毎日王冠などを勝ったハーバーヤングだ。
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ハッピーサファイア
牝 栗毛 5歳
雑賀秀介厩舎
父 ジェネラス
母 スターサファイア
母の父 テリオス
通算成績 47戦7勝
(中央出走なし)
主な勝ち鞍
04年 ガーネット特別(高知)
03年 のじぎく賞2着(園田・重賞)
秋の鞍2着 (名古屋・重賞)
兵庫でデビュー。3歳牝馬の重賞、のじぎく賞を好位からの競馬で2着。直後の菊水賞は3番手から早め後退でマイネルエクソンの6着だが、シンドバッド、マタカッタ、ジャングルバスらが上位馬ではやむをえない面もあったか。東海緒戦の重賞・秋の鞍では6番人気ながら2着とここでもあっと言わせる。その後も重賞勝ちはないものの名古屋のA級で善戦を見せてきた牝馬である。好位から前を捉えに行こうという闘争心は男勝り。高知転入後もいきなりの2連勝の後、圧巻だったのは1400m戦のだるま夕日特別。差し遅れの展開ながらゴール前で驚異的な伸びを見せてストロングボスのハナ差まで追い込んだ。厳しい流れは必至の今回、この闘争心がどこまで見られるか。紅一点がとてつもない強敵に挑む。
(血統)
父ジェネラスは英愛ダービー、キングジョージの勝ち馬。その母ドフザダービーはジェネラスの他にパークS(愛)のウェディングブーケ、英オークスのイマジン、更に読売マイラーズCのオースミタイクーンを産んだ名牝。
母系の一族から4代母の弟に日本ダービーのタニノハローモアが出ている。
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ハイフレンドピュア
牡 栗毛 10歳
谷力厩舎
父 Danzig Connection
母 Hi Friend Won
母の父 Alydar
通算成績 89戦16勝(うち中央37戦4勝)
主な勝ち鞍
00年 早池峰賞(水沢・重賞)
トウケイニセイ記念(水沢・重賞)
02年 上山城大賞典(上山・重賞)
上記には中央4勝としたが、実はJRA所属時代に川崎の交流戦を勝っており5勝とする方が正しいかもしれない。現在で言う3歳の当初にデビューして勝ち星は全てマイルから中距離のダート戦。
しかも先行した初勝利以外は好位からの抜け出しという“型”を持っていたのが印象的である。5歳の夏に岩手へ移籍。いきなりA1で勝ち負けすると上山へ遠征した上山城大賞典でインタータイムリーにクビ差の2着。12月には水沢で重賞2連勝をマーク、トウケイニセイ記念ではなんとトーホウエンペラーを破っている。その後は重賞で好戦はあれど勝ち星から遠ざかっているのが現状だが、年齢を考えれば大きな上積みは難しい というのが当然の見方か。
高知移籍後は10戦1勝。この1勝もA2のものだが、実はトップクラスとやってもそれほど差の無い競馬は出来ている。相手なりに走れるのは経験のなせる業。黒船賞でもその古豪ならではのレースぶりを頼もしく感じるかもしれない。
(血統)
当馬の父ダンチヒコネクションは米三冠最終戦のベルモントSを勝ち、祖父ダンチヒのスプリンター種牡馬というイメージを覆した。
実際その後はジュライCのグリーンデザートやアグネスワールドから、チーフズクラウンを通じてエルハーブ(英ダービー)やチーフベアハート(BCターフ)を出すなど多様性を持った種牡馬である事を証明している。日本ではそれほど沢山の産駒がいなかったが、やや煮え切らないタイプが多いようだ。
ハイフレンドピュアの叔父はウッドメモリアルSを勝ったエアフォーブスウォン。一族からはネイティヴダンサーの父であるポリネシアン(プリークネスS)が出ている。
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イブキライズアップ
牡 芦毛 7歳
宮路洋一厩舎
父 イブキマイカグラ
母 イブキプランタン
母の父 ジェイドロバリー
通算成績 36戦25勝(うち中央1戦0勝)
主な勝ち鞍 04年 高知県知事賞(高知・重賞)
2003年の春シーズン。これほど高知競馬ファンを沸かせた馬はいなかった。連勝したというだけではなく、その勝ちっぷり、走る姿、全てが観る者を魅了した。しかしその後、自身の出世を遅らせた脚部不安が、またしてもサクセスストーリーの前に立ちはだかった格好で、いつのまにかあの輝きが失われたようにも感じた。思いつく言葉は無念、不運…。
しかし昨年の大晦日。イブキライズアップは何事も無かったかのように高知競馬のグランプリを快勝した。長距離戦の落ち着いた流れは自分の庭。決して100%の状態ではなかったというが、涼しい顔でストロングボスを交わし去った。
「2003年の、あの夏の状態であればもちろん黒船賞でも…」。
それでも状態面は上昇中だという。速い流れが逆にスムーズな展開を生めば、鋭い決め手が活かせる場面もあろう。今はただ自らの力で運命を切り開くのみ。
(血統)
父イブキマイカグラはリアルシャダイ産駒。阪神3歳S、弥生賞、NHK杯と勝ってクラシックでも期待されたが菊花賞の2着が最高の成績だった。古馬となっても春の天皇賞でメジロマックイーンの3着まで。脚部不安もあり未完の大器という言葉がぴったりだった。
祖母アルズアニーの産駒にオーディン(平安S2着)、バイタルフォース(すみれS)といった活躍馬。特にオーディンは中央未勝利の後、新潟競馬で頭角を現しカク地として臨んだ平安Sを2着し、中央時代の雪辱を果たすという地方競馬ならではのドラマを残した。
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さて最後にJRA条件交流はりまや盃の中央出走馬を簡単に紹介しておこう。
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シルクブラウニー
牝 黒鹿毛 4歳
武邦彦厩舎
父 スターオブコジーン
母 バレリーナチュチュ
母の父 ブライアンズタイム
通算成績 9戦1勝
(地方交流出走なし)
勝ち星
2004.6.19
函館 ダート1700m未勝利戦
前走
2004.10.9
京都 芝1400m戦 13着
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セイウンカラク
牡 黒鹿毛 5歳
小桧山悟厩舎
父 サンデーサイレンス
母 レイホーシービー
母の父 ミスターシービー
通算成績 20戦1勝
(地方交流出走なし)
勝ち星
2003.5.31
東京 芝2000m未勝利戦
前走
2005.2.13
小倉 ダート1700m戦 5着
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ハローマイフレンド
牝 鹿毛 5歳
和田正道厩舎
父 スキャン
母 ホクセーファイヤー
母の父 トウシヨウボーイ
通算成績 19戦1勝
(うち地方交流4戦0勝)
勝ち星
2002.6.30
福島 ダート1000m新馬戦(折り返し)
前走
2005.2.12
小倉 ダート1700m戦 15着(休み明け)
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ビーマイヒーロー
牡 栗毛 5歳 服部利之厩舎
父 ペンタイア
母 アムルーズ
母の父 ヒツタイトグローリー
通算成績 22戦1勝
(うち地方交流2戦0勝)
勝ち星
2003.8.9
小倉 芝1800m未勝利戦
前走
2005.2.23
笠松 ダート1800mA3交流 3着
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ベルモントノーヴァ
牝 鹿毛 4歳
和田正道厩舎
父 ラムタラ
母 エスケイゴールド
母の父 Private Account
通算成績 4戦1勝
(うち地方交流2戦1勝)
勝ち星
2004.9.21 船橋 ダート1600mC1交流
前走
同上
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ロックバルスカ
牡 鹿毛 5歳
本郷一彦厩舎
父 バブルガムフェロー
母 スギノプリンセス
母の父 マルゼンスキー
通算成績 18戦1勝
(うち地方交流5戦0勝)
勝ち星
2003.3.29
中山 ダート1200m未勝利戦
前走
2005.1.22
小倉 ダート1000m 14着