いよいよ21日に迫り枠順も確定した第6回黒船賞。注目の枠順は下記の通りとなった。
3月21日(祝金) 高知競馬第9競走
15時30分発走
農林水産大臣賞典
第6回 黒船賞[指定交流](GIII)
サラ系別定 1400m
1枠1番 ノムラリューオー (JRA)56田中勝春
2枠2番 ナムラコクオー (高 知)57中越豊光
3枠3番 ゲイリーコンドル (岩 手)55村上 忍
4枠4番 ノボジャック (JRA)58蛯名正義
5枠5番 カコイサンデー (高 知)55花本正三
6番 ウォーターダグ (高 知)55西川敏弘
6枠7番 マッケンリーダー (高 知)55明神繁正
8番 スマコバフレンド (高 知)55堅田雅仁
7枠9番 エイシンドーサン (高 知)55徳留康豊
10番 タッチダウンパス (兵 庫)55岩田康誠
8枠11番 ジョイフライト (高 知)55中西達也
12番 ノボトゥルー (JRA)58武 豊
枠順を見て目を惹くのが、先行したいタイプが内側に揃ったこと。
抽選とはいえレース展開を考えれば非常に「面白い枠」となったなあという印象だ。これだとスタート地点から300mの直線を進んでやってくる第1コーナーの位置取りひとつで展開はずいぶん変わる。先行グループのカギを握ると思われるノボジャックは逃げるのか、それとも控えるのか。相手をノボトゥルーに絞っているのなら、控えて3~4番手から抜け出しをというシーンも。
ゲイリーコンドルもこの枠ならある程度前から行かざるを得ないだろう。先団が競り合うようだと上がりの掛かる展開も予想される。
タッチダウンパスは絶好の枠と言えるだろう。外側には先行タイプがいないため実質は大外枠だ。ペースを睨みつつマーク戦法を取るにはベストとなった。
同じくマッケンリーダーにとっても戦前から考えていた戦法にはピタリとはまる枠である。好位集団から勝負所でどこまで食い下がれるか。
ノボトゥルーは昨年参戦時に後藤浩輝騎手が「1コーナーで行きッぷりが良くなかった」と語っていたように、この1コーナーのこなしかたがポイント。
もちろん昨秋に「とちぎマロニエカップ」、「兵庫ゴールドトロフィー」(共にGIII)で(右回り・小回り・1400m)を2連勝。昨年とはこの条件に対する適応力が違うだろうから、高知コースに相性がいいと語る鞍上もあって割引きとまではいえないかもしれない。
ノムラリューオーはこの枠で果たしてどれくらいの位置取りを選ぶのだろう。
差しタイプだが、案外と先行勢の直後位を追走せざるを得ないかもしれない。
ナムラコクオーは2枠に入って前走「だるま夕陽特別」での3番枠と同じような戦法を選ぶ事になるだろうか。内々でじっくり追走して直線どこまで伸びてくるか。心配された状態面はここまで大変に順調と伝えられている。
ウォーターダグ・エイシンドーサンらにとってはやはり前崩れの展開が理想。
枠順に関してどうこうよりも、前が止まらぬ展開ならやはり厳しい。
さてそれでは紹介が遅れていたJRAからの遠征馬を…。
--------------------------
☆ノボジャック 牡6歳 栗毛
栗東・森 秀行厩舎
連対時の馬体重 470~487kg
父 French Deputy
母 Flight of Angels
母の父 Afleet
2歳時…
現在の表記で2歳9月に中央競馬でデビュー。2戦目のダート1200mを勝ち上がると2~3歳時は芝・ダート兼用の活躍を見せる。芝の京王杯3歳S(G2)を2着、朝日杯3歳S(G1)を8着なら十分に芝適性もあったと見る。
3歳時…
2月のヒヤシンスS(D1600m)でOP初勝利。5月には再び芝のG1・NHKマイルカップに登場(18着)。秋の復帰後は根岸S(G3・D1200m)3着、芝のスプリント戦・CBC賞(G2)で8着。どうやら将来進むべき路線が見えてきたか。
4歳時…
この年からダート短距離路線へ。G3ガーネットSで5着。すばるSを優勝してG1フェブラリーSへ(13着)。そしていよいよ高知の交流重賞・黒船賞G3で重賞初優勝。その後は地方交流重賞でJBCスプリントG1までを6連勝という破竹の快進撃。59キロを背負ったとちぎマロニエカップG3で2着となり連勝は止まったものの、この年のダートスプリント路線では完全に主役であった。
5歳時…
緒戦の根岸SG3では3番人気で8着。フェブラリーSG1では10着と敗れるも、昨年初重賞を飾った黒船賞G3ではサウスヴィグラスの2着。コースとの相性を見せている。その後、群馬記念G3を連覇するもG3では59キロの斤量もあってか勝ちきれず、それでもJBCスプリントG1では3着に入って存在をアピールした。
6歳 …
今年初戦の根岸SG3で3着。今回の黒船賞はG3ながら58キロの斤量となるのもプラスで、果たして2度目の優勝なるかどうか。
ご存知3年連続出走のノボジャック。コースとの相性は抜群で、スピードとパワーに優れたこの馬らしいレースが楽しみだ。エルコンドルパサーやマンハッタンカフェによる遠征でフランスでも名前を知られる蛯名正義騎手は第1回の黒船賞でドージマムテキに騎乗(8着)していたが、昨年の2着からもう一歩前進して高知競馬場での初勝利なるか?
--------------------------
☆ノボトゥルー 牡7歳 鹿毛
栗東・森 秀行厩舎
連対時の馬体重 434~461kg
父 Broad Brush
母 Nastique
母の父 Naskra
2歳時…
現在の表記で2歳時に中央競馬でデビュー。芝で3・4着の後、ダートのマイル戦で初勝利。樅の木賞2着でダート適性を見せる。
3歳時…
この年5戦目のダートマイル戦で2勝目。ユニコーンSG3に挑戦するも10着に敗れ、本格化はまだまだ待たねばならない。
4歳時…
3月の伊良湖特別(D1700m)で3勝目。10月に東京で条件戦(D1400m)を勝つのは後の根岸Sへの布石となる。
5歳時…
ようやく本格化したのはこの年。初戦のジャニュアリーS(D1200m)から、ペリエ騎手を鞍上に迎えた根岸SG3、フェブラリーSG1まで3連勝で一気に頂点へ。その後は常にダートの最強クラスと戦い続け、JCダートG1でもクロフネを唯一負かしに行っての4着とその力量は高く評価されている。
6歳時…
根岸SG3を2着、フェブラリーSG1で3着というスタート。黒船賞G3ではもどかしい行きッぷりで7着と敗れるも、秋シーズンには南部杯G1で4着、JBCスプリントG1を2着と再び上昇ムードに。更に12月には交流G3のとちぎマロニエカップと兵庫ゴールドトロフィーを連勝。この2レースを勝った事は2度目の黒船賞に向けて明るい材料といえよう。
7歳 …
3年連続で出走した根岸SG3とフェブラリーSG1を4着、6着。得意の東京コースでなかった事を考えれば上々の内容か。黒船賞が今年の3戦目となる。
過去に黒船賞に出走したJRA馬の中で、その年のフェブラリーSの一桁着順だったのは00年のビーマイナカヤマ(8着-黒船賞優勝)と02年のサウスヴィグラス(6着-黒船賞優勝)の2頭だけ。このデータだけを取り上げればノボトゥルー(今年6着-?着)の優勝確率は100%になるが、今年のフェブラリーSは前年までの東京開催から中山開催に替わっており、例年の通りとは言い難いか。もっともノボトゥルーの場合は本来中山よりも東京得意のイメージ。判断のしにくいデータとなってしまったが、やはり実績面から考えれば高知コースとの相性一点のみが予想のカギになりそうだ。
--------------------------
☆ノムラリューオー 牡4歳 栗毛
美浦・増澤末夫厩舎
連対時の馬体重 476~516kg
父 スキャン
母 ノムラテスコレデー
母の父 アスワン
2歳時…
7月に船橋競馬場でデビュー。デビュー戦のJRA認定競走から2歳選抜戦までを3連勝。3連勝目の野菊特別では後に中央へ遠征してユニコーンSG3を勝つヒミツヘイキ(2着)を抑えているが、12月の2歳重賞・平和賞では逆にヒミツヘイキの4着に敗れた。
3歳時…
この年初戦となった大井競馬場の準重賞’02ゴールデンステッキ賞を勝つと、続いて大井の京浜盃を制して初重賞勝ち。その後は羽田盃3着、東京ダービー5着、ジャパンダートダービーG1ではゴールドアリュールの6着と大崩れせずに南関東の3歳を代表する一頭として活躍。8月の重賞・黒潮盃を1番人気で制した事は、混迷を伝えられる南関東のこの世代にあって大変価値がある。その後も日本テレビ盃(G2)4着したが、ここで美浦の増澤末夫厩舎へ転厩。中央所属馬として挑んだとちぎマロニエカップG3、兵庫ゴールドトロフィーG3を2・6着。G3ならいつでも好走して不思議のない実績を残している。
4歳 …
2月に京都のすばるSを10着。黒船賞が今年2戦目となる。
タイトルとしては大井の京浜盃・黒潮盃の2重賞を制覇しているが、同じく中央から遠征してくるノボジャック・ノボトゥルーに比べて1枚落ちる事は否めない。ただしこちらは4歳という若さがあって、昨年の3歳時に一年通して見せたパフォーマンスはなかなかのもの。脚質的に最内枠は若干不安を残すが、それでもメンバー的に中団より後ろとは考えにくく、あるいは先行集団での競馬も予測されるところ。前回のすばるSは京都競馬場ダート戦のペースにとまどったか10着だが、地方交流の方が力を発揮できそうだけにその部分の前進に期待する。なお田中勝春騎手は高知競馬場に初登場。
--------------------------
これまで黒船賞に遠征した中央馬というとビーマイナカヤマ・ノボジャック・サウスヴィグラスがそうであったように、春からのダート短距離戦線で主役をはる馬が現れるという印象があったのだが、今回はそういった新勢力というよりは実績馬の登場となる。そういった意味ではG1馬2頭であっさり決まるのか、それとも一角が崩れるのか、その辺りが最大の焦点となろう。
ニホンピロサートらの回避は残念だったが、それでも春競馬の訪れを告げる黒船賞の時期は心がうきうきとしてくるものだ。それは寒い冬を経て桜の季節を迎える日本人の遺伝的記憶のせいかもしれない。
今年も競馬ファンに春を告げる「黒船賞」がやってくる。