3月21日(金祝)に今年もいよいよ黒船賞(G3)がやってくる。
四国唯一のダートグレード競走であって、スポーツイベントとしての価値も非常に高いこの競走を何かに例えるならばプロ野球の公式戦(それもシーズンの大事な一戦)が高知で行われる位だと考えてもいいだろう。
高知競馬場、距離1400m、グレード別定という条件で行われてきた過去の成績を簡単にまとめると下記のようになる。
第1回1998.3.24(やや重)
優勝 リバーセキトバ(高知)
北野真弘 1分29秒1
2着 フジノマッケンオー(JRA)
武 豊 21/2馬身
3着 ストーンステッパー(JRA)
熊沢重文 クビ
第2回1999.3.22(不良)
優勝 テセウスフリーゼ(JRA)
的場 均 1分26秒0 レコード
2着 メイショウモトナリ(JRA)
安田康彦 4馬身
3着 メイショウタイカン(高知)
中西達也 頭
第3回2000.3.21(良)
優勝 ビーマイナカヤマ(JRA)
鹿戸雄一 1分27秒9
2着 メイショウモトナリ(JRA)
安田康彦 4馬身
3着 キョウエイマーチ(JRA)
秋山真一郎 クビ
第4回2001.3.20(やや重)
優勝 ノボジャック(JRA)
武 豊 1分28秒1
2着 ナショナルスパイ(大井)
的場文男 3/4馬身
3着 レジェンドハンター(笠松)
安藤勝巳 1馬身
第5回2002.3.18(重)
優勝 サウスヴィグラス(JRA)
柴田善臣 1分26秒8
2着 ノボジャック(JRA)
蛯名正義 8馬身
3着 ライジングハント(高知)
中越豊光 5馬身
もちろん5回中4度優勝しているJRA勢の強さが目を引くが、それでも第1回に地元のリバーセキトバが勝ったことでファンに対するアピール度は強いものとなった。ここ2年間は外国産馬の強さが目立っているが、今年もダート短距離界の強豪メンバーが集うことは必至であり、その出走予定馬が出揃うのが楽しみだ。
そんな中、2月23日(日)に行われた「だるま夕陽特別」でマッケンリーダーが快勝した。この「だるま夕陽特別」は高知競馬の他の準重賞とは違い、「黒船賞TR」の冠はない。ただ施行される時期と1400mの距離を考えれば当然地元の出走馬決定に重大な意味を持つはずで、できればファンに分かりやすい形でそれを発表する事が必要かと思われる。
レース内容としてはマッケンリーダーは完勝だった。先行したマチカネジュウベエから少し離れた2番手を進むと、4角先頭から3馬身差を付けて先着。
筆者の手元で前半24秒5ならマッケンリーダーには余裕のあるペースだが、他馬はもう少し差を詰めていかないと後半辛くなるはずで、そういう意味でもマッケンリーダーにとっては楽に運べた展開と言えよう。ただし中間にツメの問題で順調さを欠いていたとの事で、ならばやはり現在この距離を地元馬同士で戦えばマッケンリーダーが最も安定した存在となるだろう。黒船賞では前半23秒台はざらで、過去3年ではキョウエイマーチが23秒5、ノボジャックが23秒0(!)、昨年のマッケンリーダーが23秒9だから、その辺りで行ってどこまで余裕を残せるかが好走のカギとなるだろう。時計そのものも今回の1分30秒1(重)から2秒あるいはそれ以上縮める必要がある。
2着したナムラコクオーの底力には驚かされる。下級条件を7連勝中だが、依然として本馬場で追い切るというような調整法は取れないにも関わらずオープンクラスを相手に2着に入線したわけで、12歳という年齢も含め恐ろしいまでの能力と言わざるを得ないだろう。屈腱炎に関しては完治ということは望めないわけだが、現在はトモがあまりパンとしておらず、それゆえ肩の出も良くないという状況と聞いているが、黒船賞本番まで約1ヶ月の期間で上向く事が出来るだろうか。もちろん100%の状態になるのなら苦労は無いが、それでも出走できる可能性を持って3月を迎えるのは高知移籍後初めてのこと。
マチカネジュウベエは脚抜きのいい馬場を味方に4コーナーまで見せ場たっぷりのレース。単騎で行くという型にはまればいつでもこういうレースを出来るスピードを持っている。ゴール前で甘くなったのはマッケンリーダーに交わされての”逃げ馬の宿命”か。
ウォーターダグは高知県知事賞(12月31日)以来のレースで向こう正面でももう一つの行きッぷり。叩き良化タイプでもあり、馬場も出来れば乾いた方がいいだろう。いずれにしろ好走するにはスピード競馬への対応が必須だ。
またトーアリズムはこの距離・展開で5着ならと株を上げた。二十四万石賞など中距離以上なら今後が楽しみな存在に浮上している。
このコラムで黒船賞の地元代表馬選考に関わる発言するのは本意ではないので、その辺りは誤解のないように。ただし、「だるま夕陽特別」に出走しなかった建依別賞馬のエイシンドーサンなど別路線(佐賀記念出走)の存在もあるわけで、4頭という地元出走枠の選出に関しては頭を悩ます事にもなろう。
できれば以前にも書いた通り、ファンにも関係者にも分かりやすい選考ができるようルールの整備・公表を願いたいものだ。
当コラムでの黒船賞特集。次回は地方競馬・他地区枠の出走馬について紹介する予定となっている。