前半3Fを37秒4で通過したマッケンリーダーと、スタート抜群だったジョイフライトが前にいる。一番人気のマイネルキャラバンとしてはこれを交わした上で、後方から差を詰めてくるウォーターダグとエイシンドーサンを抑えるという難しい課題をこなし、一番最初にゴール板を迎えなければならない。
3コーナーで前2頭を交わしてもなおマイネルキャラバンの手応えには余裕があった。直線に向いて最後の追い出しにかかるとひと伸びを見せて3馬身ほどのリードを取る。通常ならばミスのない騎乗を展開した中越豊光騎手だったが…。
結論から言えば、今回はエイシンドーサンの伸び脚がレースそのものを飲み込んでしまった感がある。JRA時代には1700~1800mのレースばかりを3勝。旧4歳の3月にデビューし、3勝目を挙げたのが旧6歳の3月だからなかなか奥手のタイプ。高知移籍直前の岩手交流戦ではノボサンシャインの4着。好位グループからいったん後退して、中団から繰り出した末脚での成績ならば、この脚の使い所を工夫すれば前進のありえる内容か。
北野真弘騎手はスタートそのものは出たが、位置取りで最後方まで下がってしまったと語る。こうなれば馬の行く気に任せようと無理をせずにいたら道中掛かり始めたので、いい馬場を選んで走らせているうちに中団より前へ進出。直線に向くまでは届かないかなと思ったが、みるみる差が詰まるので逆に残り百ではすでに勝利を確信。ゴール板では4分の3馬身差をつけてエイシンドーサンが初重
賞制覇を成し遂げた。
マイネルキャラバンとエイシンドーサンはまったく”違う”レースをしたという事が以上の内容から推し量れる。最終的にはエイシンドーサンの末脚の破壊力が想像以上だったという点。そして高知競馬場の走路の形状や、北野真弘騎手の判断がその威力をより引き出したという補足を付けたい。
同馬は父マウントリヴァーモアの外国産。父の産駒にはマウントアラタやプロストライン(根岸SG3)などのスプリンターが目立ち、代表産駒のハウスバスター(米チャンピオンスプリンターに2度輝く、リザーブユアハートの父)のような突進力が特徴だ。ただ本馬の場合は母がアリダー産駒であり、配合的により重厚さが強調されているようだ。長い脚が使えると分かった以上今後も重賞戦線での活躍が見込まれる。高知県知事賞の2400mはあくまで全馬にとって長いわけであり、この馬にも未知数だが有力馬となったのは間違いないだろう。
2着マイネルキャラバンは一番人気という重圧の中でのレース。展開に利が無かったのも事実だが、一方追い比べで敗れた所に不安が残った。スローからの瞬発力勝負になる高知県知事賞での鞍上の手綱さばきに注目だ。
3着ウォーターダグは斤量58キロという上位2頭との3キロ差を考えれば上々の内容と言えよう。これで順調に使っていければ王者復活の可能性は十分だ。
ジョイフライトは積極策の方が良いという結果が出た。馬場もある程度味方したが、4着はこの距離ならまずまずといったところか。
マッケンリーダー(9着)は仕方がない。ジョイフライトを”交わして”先行した時点でペースが上がってしまい、早めに後退。
ダイタクカミカゼは好位内を進もうとしたが、休み明けで息が持たなかった。ジョーオーラは良馬場で本領発揮の馬。ワカショウグンは外目を回っていたが、若干掛かっていたか勝負所では伸びを欠いた。
わずか移籍2戦目にして重賞制覇のエイシンドーサン。高知の水もピタリと合った感じで今後が楽しみになった。マウントリヴァーモアが晩成の印象だけに(産駒は早熟も多いが)、上積みがあれば交流重賞でも面白い存在となりうるだろう。