競馬における一番人気馬の勝利は大変な価値がある。
もちろん最も勝利に近いだろうと予測されての結果なのだから当たり前のように思われるかも知れないが、なかなか順当に行かないのも皆さんが良く知るとおりである。
人気馬は当然「あの馬を何とか負かそう」という目標の対象となる。その馬が先行馬ならハイペースを呼び、追い込み脚質ならスローペースを招くことになりやすいし、またマンマーク（この場合ホースマークか？）的なレースはえてしてマークをした方が有利な展開となるのも過去の戦歴が証明するところだ。
そんな中、圧倒的一番人気に応えて重賞・珊瑚冠賞を勝ったのがマチカネホシマツリ。メイショウタイカンは型があるため先行一本、オオギリセイコーは思い切った後方待機といった戦法が取れるが、人気を背負ったマチカネホシマツリはそうもいかず５～６番手で各馬を睨む。勝負所ではホーエイパーシャが恐らくは「行ける所まで」と繰り出した出し抜けに近い末脚を捉えるのに手間取って、直線入り口でも絶望的な差…。しかしこれを頭だけでも差し切って「勝った」事に価値があると見る。
ＪＲＡの天皇賞・秋でも終わってみれば何事も無かったように圧勝してみせた一番人気テイエムオペラオーが古馬最強を証明。強い馬は”たられば”なく一番人気に応える事が、その課せられた使命なのである。
さあこの開催３日間では３０頭の一番人気馬達がどんなレース振りを見せるだろうか。
ちなみに筆者はひとたびオッズを見れば、「一番人気馬の死角」を探そうとする穴党…。それだけに数々の死角を潜り抜けて勝っていく一番人気馬は本当に強いのだと意を強くする。
高知競馬場内実況 橋口浩二
