12月に野平祐二さんがいらっしゃった時におっしゃった事。
「ウイングアローやテイエムオペラオーは決して高知競馬に入厩する可能性の無い高額・血統馬ではなかった。やり方ひとつで高知競馬からジャパンカップを制する馬が出る事がありえるのだから是非強い馬を育てていく事を目指して欲しい。」
本質的な部分でこの言葉を大事にしたいと思う。優勝劣敗の原則を忘れ、夢を失くしてしまった競馬場を支持するファンはいないと思うからだ。ところがどうだろう、その野平さんの目の前であからさまに手を振りながら「無理無理、高知からではそんな馬は出るわけがない。」と発言した関係者がいたというのである。この発言を誰がしたのかはあえて伏せるし、その犯人探しをしてもしょうがない。JRAや南関東に比して競走賞金が低額であるのは真実で、更に現時点でJRA認定競走などのインフラが整備されていないのも事実であるが、要は野平さんが伝えたかった”馬作りへの情熱”を頭から否定するそのメンタリティにこそ重大な問題が潜んでいると考える。
実際に現状には”夢”を語るための環境がないという言い訳を許さざるを得ない条件が多く、それを垣間見るたびに強くは言えないという心情に陥ってしまう。いっその事第三者的立場で気楽に「スターホースのひとつも作らないと売上につながりませんよ。」といった物言いをしてみたいところだが、筆者は厩務員ひとりひとりが酷暑の日も厳寒期にも必死に4~5頭(あるいはもっと多くの)馬の世話をする現場に触れているわけであり、あまりに無責任な放言は慎まなければと考えてきた。(そういうわけでいわゆる第三者的発言に対して複数の理由で心を痛めてきた経緯もある。また中には”強い馬作り”への情熱を持ち続け、困難な中でもしっかり結果を出してきたオーナー、調教師、厩務員、騎手がいることも忘れてはならない。)
しかし、目を覚ますべきところが前述したようなメンタリティにこそあるならば、あえてこの「ゴールポスト通信」において高知競馬の”強い馬作り”について考察していかねばならないだろう。タイトル「ロードトゥグレードレース」として開催ごとのレース情報、トピックスなどとは別に不定期に掲載させてもらう予定である。そして筆者は高知競馬から複数の優駿が登場する可能性について決して諦めてはいないのである。
高知競馬場内実況 橋口浩二