6月10日(日)福山競馬場にてJRA補助馬限定の重賞競走、瀬戸内賞が行われ、兵庫からの遠征馬エルパシオン(小牧太騎手騎乗)が決め手鋭く抜け出して優勝。高知から遠征したプレシャスボーイは先行した人気馬サンアイスペシャル(福山・吉延騎手騎乗)と際どい2着争いを演じるもクビ差で届かず惜しい3着となった。
瀬戸内賞はJRA補助馬限定3歳のマイル戦。過去にチュウオーロッサ(松木啓助厩舎・徳留康豊騎手)、パワーレイク(曽我心一厩舎・北野真弘騎手)と高知勢が2度優勝している。
プレシャスボーイ(山岡恒一厩舎・花本正三騎手)は前日の9日に輸送された。輸送はスムーズで馬運車の中でもおとなしかったそうだが、福山競馬場の出張馬房でちょっと入れ込む場面も、とは山岡調教師の弁。馬体重は前走比マイナス4キロで中7日という連闘を考えれば許容範囲だろう。そして強調すべきはブリンカーを外して臨んだ事で、なにぶん難しいところのある馬だけに吉と出るかど
うか。ただし陣営が敢えて試してみたいという部分に進境が見える。
福山競馬場は川沿いの景観の良いロケーション。予想紙には「中間の降雨により馬場は高速化。全周3列の砂補充で対応したが、効果はさほどでも。やはり先行有利。」というコメントがあって、これは大変ファンサービスとなる情報だ。確かにコーナーワークが上手でがっちりハミを受けていくような先行馬が良く粘っていた。また3~4角のペースダウンで追い込み馬も一気に射程圏内へ上がってくるシーンが見られ騎手の技量も問われるコーナーでの捌きが見せ所となっているようだ。
さて瀬戸内賞は福山ダービー2着の快速馬、サンアイスペシャルが断然人気。そのダービーを勝ったユノワンサイドが楠賞に遠征して2着に追い込んだシーンも印象に強いだけに、1600mのここは地元の利もあって逃げ切り濃厚というムードだ。
兵庫・金沢・益田・高知・荒尾と5頭の遠征馬の中では、兵庫のエルパシオン、そして高知のプレシャスボーイが2~3番手評価。
「外で振り回されるよりこの枠がまし」とは花本騎手の戦前のコメントだが、今日は最内の1枠を引いた。プレシャスボーイはブリンカーを外していつもと違う印象。首差しのゆったりした感じと後肢の飛節の角度が素晴らしい馬。馬格もトップクラスで人気するのも当然か、「馬がいいからねぇ」とは応援に駆けつけた西川敏弘騎手の談。「ブリンカーを付けていたのは馬を怖がるからじゃないん
ですよ」とニコニコなのは鷹野宏史騎手。厩舎の仲間だけに良くその特徴を知っている様子。
向こう正面からの発走。ゲートが開くとあぁわずかに遅れる感じのスタート。しかしあわてずコーナーワークで差を詰めて早めに好位集団へ上昇。逃げているのはもちろんサンアイスペシャル。手応えもいい感じの先行だ。エルパシオンも終始いい位置をキープしている。向こう正面に戻ってさあそろそろ行くかという時に勝負所へ馬群が固まりプレシャスボーイの前が壁になる。ちょっと痛い不利だが致し方ない。態勢を立て直して3~4角で再び差を詰めていく。
ただし加速に時間が掛かるののがプレシャスボーイの特徴。エルパシオンが満を持してサンアイスペシャルを交わしにかかる頃まだ距離のある3番手。ゴール前は良く伸びたが2着のサンアイにクビ差届かずの3着入線。地力は見せたレースだったように思う。
恐らくは楠賞組とは差のあるメンバーだっただろうが、それでもプレシャスボーイにとってはいい経験であり、この後の南国優駿へ向けてのステップになった事だろう。夏を越えてアラブグランプリのために福山競馬場に現れるのはプレシャスかチュウオーブラックかそれとも・・・?