スピードシンボリであの凱旋門賞に挑むという事。
今の時代に聞いてもちょっと分かりにくいほど当時は冒険的だった挑戦を果たした野平祐二さんは、調教師となってもなおシンボリルドルフ(スピードシンボリの孫だ!)で世界を目指した。その野平さんが高知競馬を応援してくれている。
18世紀にイギリスでオークス・ダービーなど、現代競馬の体系の根幹が出来上がり、19世紀の後半には横浜で日本初の西洋競馬が行われた。そして20世紀に入り1907年にコイワヰの母であるエナモールド、そしてスペシャルウィークの牝祖であるフロリースカップらが相次いでイギリスから輸入され本格的なサラブレッドの生産がスタートしている。
1999年にエルコンドルパサーが凱旋門賞で2着。歴史的勝利は21世紀にお預けとなったものの、100年をかけて、いやたった100年で日本の競馬はここまで来たのだ。
20世紀の日本の競馬は常に挑戦者であり続け、着実に成果を残してきた。その先駆者である野平祐二さんが高知競馬場で21世紀を託す”ステッキ”をプレゼントする。誰に?
12月3日の「センチュリーステッキ特別」の優勝騎手にである。
困難な時代に困難な状況を打破してきたのは先人達も同じ。競馬が市民権を得、レジャーとして認知され、世界でも類を見ないほどの発展を遂げた歴史の中にミスター競馬の姿は燦然と輝いている。今こそ、その志を受け継ぎ競馬という物語を紡いでいかなければならない、たとえ行く手が険しくとも。
高知競馬場内実況 橋口浩二