年末年始にかけてのグランプリ競走、サラ系の高知県知事賞とアラブ系の南国王冠・高知市長賞はそれぞれ上位人気馬が鎬を削る争いを演じた熱戦となった。
この2つの競走はいずれも2400mの長距離で定量重量戦。南国王冠では紅一点のオンリーカードが55キロだが、後は23頭が古牡馬で57キロ。真の力量が試される条件だ。
2レースはいずれもこういった決着となった。
1着馬 2着 3着
(中団から上昇) (最後方から追い込む)(先行粘る)
ウォーターダグ エイシンドーサン マッケンリーダー
スマノガッサン チーチーキング ノースガバナー
若干の相違はあるものの、大変似た展開だった事が分かるだろう。
上位馬それぞれで見てみると
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ウォーターダグ(知事賞1着)
急激な上昇度にまでは見えなかったが、前半に追っつけてでもなるべく前の集団に取り付こうという戦法が功を奏している。直線半ばでマッケンリーダーをしっかり捉えた辺りは底力で、鞍上の励ましに鞍下が応えた素晴らしいパフォーマンスと賞賛されるべき。
エイシンドーサン(知事賞2着)
馬体重の増加は若干誤算。追い切りが重かったという話も含めて疲れがあったか。時計が掛かる馬場で却って末脚が伸びなかった可能性もあり、距離適性を考えても今回は2着確保を好材料とする見方ができる。
マッケンリーダー(知事賞3着)
2周目3コーナーでのリード(3馬身)を考えると押し切りもと思わせた見せ場十分のレース。やはりマークが緩ければいつでも好走できる実力馬だ。この3頭の後、オオギリセイコーまでの差を考えれば3強と呼んでも差し支えない程の内容を見せた。
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スマノガッサン(南国王冠1着)
長距離戦だけに脚の使い所がポイントだったが、久々の代打騎乗となった花本正三騎手が完璧なリードを見せて見事に初重賞制覇を果たした。結果的に2着争いとの着差は1馬身で、チーチーキングがまだまだ伸びそうだった事を考えれば仕掛け所がパーフェクトだったと良く分かる。現在の充実振りをきちんと結果に残した快心の勝利である。
チーチーキング(南国王冠2着)
結果として届かなかったが力量はしっかり発揮しての2着。北野真弘騎手には悔しい連続銀メダルだが、展開・馬場ともに向かない中での2着には胸を張って欲しいところ。1年前は口を割ってイヤイヤしながらの2400mだった事を考えれば当馬も成長を見せたと言えよう。
ノースガバナー(南国王冠3着)
最内枠、更にカイヨウワールドに外から絡まれるという2つの材料にも敢然と立ち向かって差の無い(コンマ3秒差)3着なら立派な競馬。外枠ならもう少し違ったレースになったかもしれない。長距離戦はそれほど年に何度もあるわけではないが、適性はやはり高いと見る。
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という各馬だが、それぞれのレースで「3強」と呼べる3頭がレベルの高い戦いを見せてくれた事が分かる。それぞれ勝ち時計は掛かっているが、現在の馬場の状態から見れば致し方ない。
年に一度の2400m戦で、各馬が力を出し切れない凡戦となる危険性を秘めた中、かなり今回は上位人気馬の力を見せ付けたグランプリとなった事には喜びを感じる。一方で4着以下とは少し差が付いたかなと思わせる内容でもあった。
さあしかしこれからサラブレッドの方は黒船賞へ向けての戦いが始まる。当然スピード自慢の台頭にも期待だ。アラブの方は南国桜花賞(昨年は1900m)に向けてのレースとなるが、サラ・アラ問わず、今年はダートグレードや交流重賞も視野に入れての挑戦にも期待していきたい。高知競馬所属馬の大活躍、こんな時代だからこそファンは待っているのである。