「読書は論理的思考を養う唯一無二の方法である」。
2001年にノーベル化学賞を受賞した野依良治博士(名古屋大学大学院理学研究科教授)がある場所でこう語るのを聞いて改めて意を強くしました。そうやはり活字には他のメディアにはない力があるのです。
近年、受動的なメディアが増えました。「何気に」という言葉が表すニュアンスは正にそれを証明しているでしょう。黙ってリビングに寝転がっているだけで世界のあらゆる情報が「イメージ化」され、有意識・無意識の別を問わず脳内に流れ込んできます。これを持って知っているつもりになることもありますが、果たして固有の「知識」として認めてよい種類のものなのかどうか…。
音楽の世界でも回顧的なサウンドやあるいは「サンプリング」と呼んで、組み合わせのセンスこそが問われるビジネスになっています。マンガやアニメの業界でさえ「最近は何もオリジナリティのあるものが生まれていない」と嘆く声があるそうですから(これは「千と千尋…」でお馴染みのあの方が言ったそうです)、「何気に」表面的な形を整えればクリエイティヴだと思う症候群は想像以上に進行しているのでしょう。
情報化の進行が「何気に知っているつもり」を増殖させたのはある意味皮肉な顛末ですが、情報過多で価値観が多様化した状況の中でこそ事の本質を見極める論理的思考能力が必要になります。改めて活字に向き合い読書に励まないといけないですねえ、そういう意味では「ハリーポッター」シリーズは世界の子供たちの論理的思考を養う救世主的な「活字」なのかもしれません。自らが想像し、創造しながら物語の世界を構築する作業はどれほどの力を与えてくれる事でしょう…。
さて書き出しから大きく話が脱線してしまいました。
今回書きたかったのは「高知競馬のすべてがまるごと分かる面白読本」のススメなんです。四国競馬へのステップを上がろうとする高知競馬を改めて世にアピールする事がとても重要なのは言うまでも無い事。ただし、競馬という「人によって切り取り方がまるで違う事象」を不特定多数に知ってもらう方法としては各種メディアの長所、短所を把握しなければなりません。まとまった情報量を受け取り側が利用しやすい形で届けるならば、ムック形式の活字媒体がベストになるでしょうね。言うなれば「高知競馬ガイドブック」です。これが四国内の書店に並んだだけで高知競馬の大きなPRになります。
初級 高知競馬のアクセスガイド、施設の紹介、コースの紹介、レースの紹介、馬券の買い方、食べ物ガイド、RyomaDerby、近辺の観光ガイド
著名人による高知競馬のススメ(コラム)
中級 活躍馬紹介、騎手名鑑(イメージはプロ野球選手名鑑!)、調教師データ、名馬&名勝負&名騎手列伝、予想紙紹介
上級 馬券攻略データ(万馬券ケースファイル、馬場状態別データ・距離別・騎手別・調教師別データなど)
てな内容でしょうかね。150ページくらいのボリュームにはなりそうです。
表紙がカラーで、裏表紙が2色、本編は写真を含めてモノクロ、でムック形式といえば大体イメージできますよね。何と言っても「持ち歩ける」のが大きなアドバンテージ。高知競馬観戦の必需品としてほらあなたも欲しくなったでしょ、1冊いかがですか?
というわけで、どなたかこの「読本」実現させてくれませんか?(どなたか、とは言ってももちろんノウハウを持った方じゃないとだめなんですが…)
何年か前にコンテンツ抜き(レイアウト・印刷・装丁)で1000部の見積もりをある方にお願いしたところ、いやこれが意外と現実的な数字だったのです。
実現するといいなあ…。
山口瞳さんの「草競馬流浪記」は読み物として名作でしたが、そこに描かれた高知競馬の姿はもうはるか昔の思い出の中です。「何気に」捉えられてしまっては困る、真の高知競馬の姿を今一度発信しましょう。筆者は東京からを中心に沢山の来訪者を高知競馬場に迎えましたが、口を揃えたように「実際に見てみるまでは分からなかったが、非常に立派な施設で面白い競馬をやっている」と言ってくれるのを聞いて勇気が沸きました。これだけのものが高知に、四国にあるのです。もちろん未整備の事柄が残っているのは肝に銘じつつ、四国に競馬という文化を残せるよう頑張らなければなりませんね。